この記事のポイント
- ナゲッツは今季7試合で、前身の「ロケッツ」時代のオレンジのユニフォームを着る。最初は12月27日のペイサーズ戦
- ABAで優勝したのはペイサーズとネッツだけ。ところがNBAでは、**ABAで無冠のスパーズとナゲッツが合わせて6回**優勝した
- ネッツは加盟料に加えてニックスへの支払いも抱え、ABA王者のままアービングを76ersへ手放した
- 合併に入れなかった球団のオーナーは、4球団の放映権料の7分の1を永久にもらう約束を結んだ。2014年に約790億円の一括払いでほぼ決着した
- スパーズとナゲッツの優勝は、ロビンソン、ダンカン、ヨキッチという自前の大きな選手が土台だった
数字で見るABA合併の50年(1ドル=158円で換算)
ABAとNBAの合併(1976年)から今季までの年数
ナゲッツがオレンジの復刻ユニを着る試合の数。最初は12月27日のペイサーズ戦
ABAから来た4球団が、NBAで優勝した回数の合計
合併に入れなかった球団のオーナーに、2014年に一括で払った額(5億ドル)
ナゲッツがオレンジの“ロケッツ”に戻る
10月12日(現地)、ナゲッツ、ペイサーズ、スパーズ、ネッツの4球団が、そろって復刻ユニフォームを発表した。4球団はどれも、かつてのライバルリーグ「ABA」から来たチームだ。ABAとNBAの合併から、今季でちょうど50年になる。コートも当時の雰囲気に作り直す(ESPN、SportsLogos.net)。
ナゲッツのユニフォームは、明るいオレンジ地に黒の「DENVER」の文字だ。パンツには、ナゲッツになる前の「ロケッツ」のロゴが入る。デンバーのチームは1967年、ロケッツとして生まれた。NBAにヒューストン・ロケッツがいたため、1974年に今の名前に変えている(SportsLogos.net、theScore)。
着るのは今季7試合で、最初は12月27日のホームのペイサーズ戦だ。紺と金の今のナゲッツとは、別のチームに見える。ほかの3球団も、スパーズは銀、ペイサーズは紺、ネッツは白と、ABA時代の色を戻した。スパーズは9試合で着て、11月4日のマブス戦が最初だ。名前の由来は「NBAチーム名の由来」で書いている(theScore、ESPN)。
ABAで5回勝った2球団が、NBAではまだ0回
4球団の歩みを並べると、はっきりした逆転がある。ABAで優勝したのは、ペイサーズの3回とネッツの2回だけだ。スパーズとナゲッツは、ABAでは一度も勝っていない。それでも力はあった。NBA1年目のナゲッツは50勝32敗で地区1位になった。トンプソン、イッセル、ジョーンズの3人がオールスターに選ばれている(ESPN、NBA.com)。
ところがNBAに来てから、立場が入れ替わった。スパーズは1999年から2014年までに5回優勝した。ナゲッツは2023年に初優勝している。ABAの王者だったペイサーズとネッツは、50年でまだ0回だ。ペイサーズは昨年もファイナルで敗れた。今季の様子は「ハリバートンの復帰」で書いた。
合併後の50シーズンの優勝のうち、4球団の分は6回で12%になる。4球団は今のリーグの約13%なので、数だけなら釣り合っている。ただ、その中身は2球団に偏っている。優勝のない球団は「まだ一度も優勝がないフランチャイズ」でまとめた。
ABAから来た4球団の優勝回数
ネッツはNBAに入るためにドクターJを手放した
明暗を分けた一つ目は、合併の条件だ。1976年6月、NBAはABAのうち4球団だけを受け入れた。4球団は加盟料として、1球団あたり320万ドルを払うことになった(Click Americana、Hoops Analyst)。
ネッツには、もう一つ負担があった。本拠地がニックスの地元と重なるとされ、ニックスに約480万ドルを払うことになった。額を400万ドルとする記録もある。ABA最後の王者だったネッツは、この出費でエースを抱えきれなくなった(Click Americana、CBS News)。
そのエースが、ドクターJことジュリアス・アービングだ。開幕直前に76ersへ移り、ネッツはNBA1年目を22勝60敗の最下位で終えた。今回の白い復刻ユニは、アービングが着ていたころのデザインだ。コートには、アービングを含む歴代の全選手の名前も入る(theScore、SportsLogos.net)。
ネッツがドクターJを手放すまで
- 11976年5月
ネッツがABA最後のファイナルを制し、2度目の優勝
- 21976年6月
NBAがABAの4球団の受け入れを決定。加盟料は1球団320万ドル
- 31976年夏
ネッツは地元が重なるニックスにも約480万ドルを払うことに
- 41976年10月
開幕直前、アービングを76ersへ放出
- 51976-77
ネッツはNBA1年目を22勝60敗のリーグ最下位で終える
合併に入れなかった球団に払った約790億円
合併から外れたABAの球団もあった。セントルイスのスピリッツだ。オーナーのシルナ兄弟は、球団をたたむ代わりに変わった条件をのんだ。4球団が受け取るテレビの放映権料の7分の1を、永久にもらう約束だ(Sports Illustrated、NBC News)。
NBAの放映権料は、その後の数十年で大きくふくらんだ。兄弟が2014年までに受け取った額は、約3億ドルにのぼる。リーグと4球団は2014年、5億ドル(約790億円)を一括で払い、この約束をほぼ終わらせた(Sports Illustrated、NBC News)。
つまり4球団は、加盟料を払ったうえに、放映権料の一部も長く削られてきた。ABAから来たチームは、入り口から重い荷物を背負っていた。そのなかで勝てたスパーズとナゲッツには、はっきりした共通点がある。
スパーズとナゲッツを王者にした自前の大黒柱
スパーズの5回の優勝は、ドラフト1位で取ったデビッド・ロビンソンとティム・ダンカンが土台だった。ナゲッツの初優勝は、2014年の2巡目41位で取ったヨキッチが中心だ。どちらも、チームの顔になる大きな選手を自前で育てた。ヨキッチの今後は「ナゲッツの2026-27サラリー」でも書いた。
ABAが残したものは、チームだけではない。3ポイントシュートは、ABAが1967年の発足から使っていた。NBAが取り入れたのは1979-80シーズンだ。ダンクコンテストも、1976年1月にデンバーで開いたABAのオールスターが始まりだった(Wikipedia、Bleacher Report)。
今季のナゲッツは、2度目の優勝を狙うシーズンになる。復刻ユニの7試合には、2月28日の敵地のスパーズ戦も入る。ABAから来た2球団が、当時の色で向き合う試合だ。ナゲッツの顔ぶれはナゲッツのチームページで確認できる。
合併後50シーズンのNBA優勝(50回)のうち、ABAから来た球団の分
- スパーズ10%
1999・2003・2005・2007・2014年
- ナゲッツ2%
2023年
- ほかの球団88%
ペイサーズとネッツは0回