この記事のポイント
- クリッパーズは10月12日(現地)、キャンプ契約(エグジビット10)の河村との契約を解除した
- 傘下のGリーグチーム(サンディエゴ・クリッパーズ)に60日以上いれば、クリッパーズから**9万1,000ドル(約1,440万円)のボーナス**が出る
- クリッパーズのツーウェイ枠は**3つのうち1つが空いている**。ただしキャム・クリスティも候補になりうる
- NBAでは通算40試合で平均2.5点。昨季のGリーグでは平均18.7点・11.0アシストと、舞台で数字が大きく違う
- 開幕時点でNBAのチームと契約している日本人は、八村塁だけになる見込み
数字で見る河村の契約解除(1ドル=158円で換算)
クリッパーズで空いているツーウェイ枠(全部で3枠)
傘下のGリーグに60日以上いると出るボーナス(9万1,000ドル)
10日のラプターズ戦の得点。14分の出場で4アシストも
契約解除のあとのクリッパーズのキャンプの人数
開幕まで1週間を残しての契約解除
クリッパーズは10月12日(現地)、河村勇輝との契約を解除したと発表した。結んでいたのは、キャンプに参加するための「エグジビット10」という契約だ。解除で、クリッパーズのキャンプの人数は20人になった(Hoops Rumors、共同通信)。
河村はプレシーズンの2試合に、どちらも途中から出ていた。10日のラプターズ戦では14分で10点・4アシスト。シュートは4本中3本を決め、内容は悪くなかった。プレシーズンはまだ1試合、キャンプも1週間残っていた(Hoops Rumors、スポニチ、ClutchPoints)。2024年にはグリズリーズで、同じエグジビット10から開幕前にツーウェイ契約を勝ち取っている。今回は、その道を2度目に狙っていた。
それでも、枠の数から見れば想定の範囲の結果だった。9月30日の記事で書いたとおり、本契約の選手は開幕前から16人いた。上限の15人をすでに1人超えていて、河村が本契約に入る余地は初めからほとんどなかった。
解除は、傘下のGリーグに残すための手続きでもある
エグジビット10は、最低年俸の1年契約に付ける特約だ。開幕ロスターに入れる保証はない。契約解除と聞くと「クビ」の印象が強いが、この契約の解除には別の意味もある。開幕前に解除された選手が傘下のGリーグチームに加わると、チームはその選手を手元に置いておける。クリッパーズの傘下は、サンディエゴ・クリッパーズだ。
選手の側にも得がある。サンディエゴに加わって60日以上在籍すると、クリッパーズから9万1,000ドルのボーナスが出る。Gリーグに残ってくれた選手への上乗せのようなものだ。円にすると約1,440万円だ。Gリーグの給料とは別に受け取れる(Hoops Rumors、Heavy)。
日本のメディアも、米メディアの報道として、契約に傘下チームへの加入条項があったと伝えている。ただ、サンディエゴ入りはまだ正式に発表されていない。解除から48時間は、ほかのチームが獲得を申し出ることもできる(東スポWEB、ClutchPoints)。クリッパーズには、ジョーダン・ミラーをツーウェイで何度も手元に置き、この夏に本契約へ引き上げた前例もある。シーズン中にサンディエゴから呼び戻す道は、閉じていない(ClutchPoints)。
ツーウェイ枠は残り1つ、競争相手もいる
河村がNBAの試合に戻る一番の近道は、ツーウェイ契約だ。本契約の15人とは別に、1チーム3人まで結べる。NBAの試合にも、レギュラーシーズンで50試合まで出られる。給料はNBAの新人の最低年俸の半分だが、NBAのコートに立てる立場に戻れる意味は大きい。仕組みは「NBAのツーウェイ契約とは?」にまとめている。
クリッパーズの3枠のうち、2つはジェイレン・ピケットとニック・マルティネリで埋まっている。夏にツーウェイでの合意が報じられたジャマリオン・シャープは、12日にラプターズと契約した。つまり、空いているのは1枠だ(ClutchPoints、Hoops Rumors)。
ただ、その1枠を狙うのは河村だけではない。本契約はまだ16人いて、開幕までにもう1人減らす必要がある。ClutchPointsは、その候補にキャム・クリスティを挙げている。クリスティもツーウェイ契約を結べる立場で、最後の1枠を争う相手になりうる。
NBAとGリーグで、数字がまったく違う
首脳陣が判断に迷うのは、河村の数字が舞台によって大きく変わるからだ。NBAではこれまで40試合に出場した。平均は2.5点と1.7アシスト。出場時間は平均7.6分にとどまる(Hoops Rumors、Basketball-Reference)。
一方、昨季のGリーグでは11試合で平均18.7点。アシストは平均11.0本で、試合を自分で動かせていた。2月には、1試合で34点・16アシストを記録している(Hoops Rumors、Heavy)。今回のラプターズ戦も、出場は第3クォーターの終盤からだった。10点はすべて最終クォーターに取ったものだ(スポニチ)。
NBAで出場時間が伸びないのは、172cmの体格で守備の弱点として狙われやすいことが大きい。逆に言えば、Gリーグでは試合を任せられる司令塔であることをすでに示している。サンディエゴで求められるのは、得点の多さより、大きな相手に通じるプレーを見せることだろう。
河村のNBAとGリーグの成績
八村塁ひとりで迎える開幕と、この先の分かれ目
これで、開幕時点でNBAのチームと契約している日本人は、八村塁だけになる見込みだ。八村はクリッパーズと2年2,800万ドルの契約で、主力の一人として開幕を迎える。この夏はW杯予選の日本代表で、河村と一緒にプレーしたばかりだった(Hoops Rumors)。最新の状況は日本人NBA選手まとめで追っている。
河村の次の分かれ目は3つある。1つ目は、ウェーバーの期間を経て、サンディエゴ入りが正式に決まるか。2つ目は、クリッパーズが開幕前に、最後のツーウェイ枠を誰に使うか。3つ目は、シーズン中にけが人が出たとき、名前が挙がるかだ。
グリズリーズでもブルズでも、河村はツーウェイ契約からNBAのコートに立ってきた。今季は、その入り口がGリーグに一歩下がっただけで、扉はまだ閉じていない。サンディエゴでの数字は、このサイトでも追いかけていく。
この先の流れ
- 110月12日
クリッパーズが河村との契約解除を発表
- 2解除から48時間
ほかのチームが獲得を申し出られる期間(ウェーバー)。申し出がなければ自由契約に
- 3開幕の前日まで
クリッパーズが本契約15人と、最後のツーウェイ枠を決める
- 410月20日
NBAが開幕(日本時間21日)
- 5Gリーグで60日
傘下のサンディエゴ・クリッパーズに60日以上いれば、クリッパーズから9万1,000ドルのボーナスが出る