この記事のポイント
- リラードは2025年4月にアキレス腱を切ってから**528日ぶり**に試合に出て、19分で15点(3ポイント8本中3本)。ブレイザーズはウォリアーズに123-118で勝った
- 移籍初戦のモラントは8点・5アシストだが、ミスが4つ。チーム全体のミスは21個で、ノーリHCは「片付けることが多い」と話した
- 2人の今季の年俸は合わせて約5,560万ドル(約88億円)で、チーム全体の**約29%**。ガード4人では54%になる
- 一方、昨季オールスターのアブディヤの年俸は約1,310万ドルでチーム8番目。主力が安い契約のうちに勝ちたい、というのがこの賭けの理由だ
数字で見るリラードの復帰戦
2025年4月27日にアキレス腱を切ってから、復帰戦(10月7日)までの日数
リラードの復帰戦の得点(19分出場、3ポイント3本成功)
チームの年俸のうち、リラードとモラントの2人が占める割合
モラントが直近3シーズンに出られた試合数(1シーズンは82試合)
528日ぶりの最初のシュートは3ポイント
10月7日(現地)、ポートランドのモダセンターで行われたプレシーズン初戦で、デイミアン・リラードが約1年5か月ぶりに試合に出た。最後にプレーしたのは2025年4月27日、バックスの一員として出たプレーオフ1回戦のペイサーズ戦で、このとき左のアキレス腱を切っている。そこから数えて528日。最初に打ったシュートは3ポイントだった(NBA.com)。
成績は19分で15点、フィールドゴール11本中5本、3ポイント8本中3本、スティール2つ(NBC Sports)。チームはウォリアーズに123-118で勝った。リラードは試合後、「本来いるべき場所に戻ってきた感じがした」と話している。ブレイザーズのユニフォームで試合に出たのは、2023年にバックスへトレードされて以来、約3年ぶりだ。
前の日には、同じアキレス腱断裂から戻ったペイサーズのタイリース・ハリバートンも復帰している(「ハリバートンが472日ぶりに復帰」)。ただ、2人には大きな違いがある。ハリバートンは26歳、リラードは36歳だ。アキレス腱のけがは、年齢が上がるほど元の動きに戻るのが難しいとされる。19分で3ポイントを8本打てたことは、少なくとも体が試合の強度に耐えられる段階まで来たことを示している。
モラントは8点・ミス4つ、チームはミス21個
この試合でもう1つ注目されていたのが、6月にグリズリーズから加わったジャ・モラントとの組み合わせだ。2人はそろって先発し、モラントも19分出場で8点・5アシスト・2スティール。ただ、シュートは8本中3本、3ポイントは1本だけ打って外し、ミスが4つあった(Sports Illustrated)。
チーム全体のミスは21個。ウォリアーズにはオフェンスリバウンドを12本取られた。マイカ・ノーリHCは「点の取り合いをするようなチームではない」「あれではNBAでは勝てない」と厳しく、モラントについては「急ぎすぎていた。タイミングが合っていないところもあった」と話している。新しいチームでの初戦で、ボールを持ちたいガードが2人並べば、こうなるのはある程度予想できたことだ。
むしろ目立ったのは、21分で23点(13本中9本)を挙げたデニ・アブディヤのほうだった。昨季、平均24.2点・6.9リバウンド・6.7アシストで初めてオールスターに選ばれたフォワードで、この試合でも攻撃の多くがアブディヤを通っていた。一方、スクート・ヘンダーソンは今季、ベンチから出る役割になった(NBC Sports)。
ブレイザーズの年俸の総額(約1.92億ドル)のうち、リラードとモラントの分
- リラードとモラント29%
モラント約4,217万ドル+リラード約1,340万ドル(約88億円)
- ホリデーとヘンダーソン25%
ほかのガード2人。約4,839万ドル(約76億円)
- ほかの選手46%
約8,810万ドル(約139億円)
年俸の半分以上がガード4人に集まっている
ブレイザーズの今季の年俸の合計は約1.92億ドル(約303億円)。ShamSportsによると、そのうちモラントが約4,217万ドル、ジュルー・ホリデーが約3,480万ドル、リラードが約1,340万ドル、ヘンダーソンが約1,359万ドルで、ガード4人だけでチームの年俸の54%になる。リラードとモラントの2人に限っても約5,560万ドル(約88億円)、全体の約29%だ。
リラードの年俸が実力のわりに安いのには理由がある。2025年7月、バックスはリラードとの契約を解除し、残っていた約1.13億ドルを5年に分けて払う「ストレッチ」という方法を選んだ。リラードはその後、ブレイザーズと3年4,200万ドルで再契約したので、バックスが払う額は少し減り、報道ベースでは2029-30まで毎年約2,020万ドルを払い続ける(Hoops Rumors)。つまりリラードの給料の大部分は、いまもミルウォーキーから出ている。ブレイザーズにとっては、元エースを相場よりずっと安く取り戻せた形だ。
もう1つ大きいのが、アブディヤの契約だ。今季の年俸は約1,310万ドル(約21億円)で、リラードとほぼ同じ、チームの中では8番目。チームでいちばん活躍している選手が、これほど安い契約に収まっている時期は長くない。年俸の合計はぜいたく税(払いすぎたチームに課される罰金のようなもの)のラインまで約830万ドルの余裕があり、主力の契約が安いうちに勝ちに行くというのが、モラントを獲った理由と読める。年俸の仕組みは「サラリーキャップの仕組み」、各選手の年俸は年俸ランキングでも見られる。
ブレイザーズの主な選手の今季の年俸
問題はうまさではなく、出られる試合数
リラードとモラントは、どちらも実績は申し分ない。リラードはけがをする前の2024-25に平均24.9点・7.1アシスト。モラントは2023年まで2年続けてオールスターに選ばれている。心配なのは、どちらも最近ほとんど試合に出ていないことだ。モラントはけがや出場停止が重なり、直近3シーズンで出られたのは79試合だけ(ESPN)。1シーズン分にも届いていない。リラードは丸1シーズン休んでいる。
ガードが4人いる今の形は、見方を変えれば保険でもある。どちらかが欠けても、ホリデーやヘンダーソンで穴を埋められる。昨季は42勝40敗でプレーインを勝ち抜いたが、1回戦でスパーズに1勝4敗。勝ち星を上積みして直接プレーオフに出るには、ガード陣の誰かが欠けた試合でも負けを増やさないことが大事になる。
逆に、2人とも元気に出続けた場合は、守備が課題になる。リラードもモラントも、体の大きいフォワードを止めるタイプではない。リラードがかつてCJ・マッカラムと組んだときも、攻撃は強くても守備で狙われ、プレーオフで勝ち切れなかった(「ガードがエースのチームは“守れる相方”がいないと優勝できない?」でも詳しく書いた)。今回はトゥマニ・カマラ、ドノバン・クリンガン、アブディヤという守れる選手が周りにいるのが当時との違いだ。
リラードとモラントを比べると
開幕までの2週間で見たいこと
レギュラーシーズンは10月20日に始まる。それまでのプレシーズンで見たいのは3つ。1つ目は、リラードが連戦に出られるかどうか。19分だった出場時間が、試合を重ねて20分台後半まで伸びていくかが目安になる。2つ目は、モラントのミスが減るか。ノーリHCが言う「タイミング」が合ってくれば、2人が同時にコートにいる時間を長くできる。
3つ目は、アブディヤが攻撃の中心のままでいられるかだ。年俸の高いガード2人に遠慮してボールが回らなくなれば、昨季の強みが消えてしまう。初戦はアブディヤが最多得点だったのは、むしろ良い兆しと言える。
もし2人がそろって60試合以上出られれば、ブレイザーズは西の上位をうかがえる。どちらかが長く離れれば、昨季と同じあたりにとどまる。このチームの成績は、うまさよりも“何試合出られるか”で決まる。当サイトの順位予想(「2026-27 NBA順位予想」)ではブレイザーズを西の7位、44勝38敗と見ているが、その前提も2人の出場試合数次第だ。チームの選手の顔ぶれはブレイザーズのチームページで確認できる。