この記事のポイント
- プリチャードはセルティックスと**2年4,420万ドル(約70億円)**の延長に合意。延長は2028-29から始まる
- 1年目の約2,120万ドルは、ルールで出せる上限(平均年俸の140%)いっぱい。**1年あたりでは値引きしていない**
- 期間は組めた3年(最大約6,700万ドル)ではなく2年。2年目は選手とチームの“どちらかが望めば残る”双方オプション
- 実質は2年保証に近く、2029年夏に双方が望めば結び直す“話し合いの窓”にもなる
- 今季と来季は約800万ドルのまま。ブラウンを出したセルティックスは、**安いうちに2番目の点取り役を固めた**
数字で見るプリチャードの延長(1ドル=158円で換算)
延長2年の総額(約70億円)
今季の年俸から、延長1年目の年俸への上がり方
延長1年目に出せる上限(リーグの平均年俸の140%)。その上限いっぱい
過去3年の出場試合数。リーグ3位タイ
6thマン賞の28歳が、2年4,420万ドルで延長
セルティックスのペイトン・プリチャードが、2年4,420万ドル(約70億円)の延長に合意した。現地10月13日、ESPNのシャムズ・シャラニア記者が代理人の話として伝えた。延長は2028-29から始まり、2年目の2029-30は双方オプションになっている(ESPN、Hoops Rumors)。
プリチャードは28歳のガードで、2020年のドラフト26位で入団した。2024年の優勝メンバーで、2025年には6thマン賞をとっている。昨季は79試合に出て、50試合で先発した。平均17.0点と5.2アシストは、どちらも自己最多だ(ESPN、Hoops Rumors)。
いまの契約は、2023年に結んだ4年3,000万ドルの延長だ。今季の年俸は約780万ドル(約12億円)で、来季は約830万ドル。延長1年目は約2,120万ドル(約34億円)になり、年俸は約2.7倍に上がる。今季のセルティックスの延長は、ケイタとウォルシュに続いて3人目だ(Hoops Rumors)。
シャムズ・シャラニア記者が伝えたプリチャードの延長
1年あたりの額は、ルールで出せる上限いっぱい
金額は、ルールで出せる上限いっぱいだ。ベテランの延長では、1年目の年俸に上限がある。リーグの平均年俸の140%までだ。今季の平均は約1,516万ドルと見込まれ、その140%が約2,123万ドルになる(Hoops Rumors)。
2年目は8%上がって、約2,293万ドル(約36億円)になる。2年を足すと約4,415万ドルで、報道の4,420万ドルとほぼ同じだ。つまり1年あたりの額では、まったく値引きしていない。1年2,200万ドルで延長したウォリアーズのポジェムスキーの延長と、ほぼ同じ水準になる(ESPN、Hoops Rumors)。
控え出身の選手に年2,100万ドルは高く見える。ただ昨季は、1試合でボールに触れる回数が約52回から約70回に増えた。増え方は、条件を満たす33人の中で2番目に大きい。過去3年で241試合に出て、これはリーグ3位タイだ。役割が広がっても休まないことが、上限の額の裏づけになっている(ESPN)。
プリチャードの年俸の移り変わり
上限の3年ではなく、2年目を“どちらかが望めば残る”年にした
一方で、期間は上限より短い。いまの契約が2年残っているプリチャードは、最長で3年の延長を結べた。NESNの試算では、3年なら最大約6,700万ドル(約106億円)だった。実際に結んだのは2年で、3年目の分は入れなかった(NESN、Hoops Rumors)。
2年目の双方オプションは、少し変わった形だ。選手とチームのどちらかが望めば、その年は残る。両方が断ったときだけ、契約は終わる。Hoops Rumorsは、両方が断るのは新しい契約を結び直すときくらいだと見ている(Hoops Rumors、ESPN)。
つまり、実質はほぼ2年の保証だ。そのうえで2029年夏に、双方が望めば長い契約に結び直せる。そのときプリチャードは31歳。キャップ(各チームの年俸の基準額)が上がっていれば、もう一度大きな契約を狙える年齢で区切ったことになる。仕組みは「NBAサラリーキャップの仕組み」でまとめている。
組めた上限の延長と、実際に結んだ延長
ブラウンを出したセルティックスで、2番目の点取り役に
昨季のセルティックスは56勝26敗だった。ジェイソン・テイタムがアキレス腱のけがで最初の62試合を欠場し、その間にプリチャードの出番が大きく増えた。テイタムが戻ったのは3月6日だった(ESPN、Hoops Rumors、Wikipedia)。
ところがプレーオフでは、1回戦で76ersに3勝1敗から逆転負けした。セルティックスが3勝1敗から敗退したのは、球団史上初めてだ。7月にはジェイレン・ブラウンを76ersへトレードし、ポール・ジョージらが加わった(Boston.com、Spotrac)。
ブラウンが抜けたいま、テイタムの次に点を取る役が必要になる。Boston.comも、プリチャードの役割はさらに大きくなると見ている。今季と来季の年俸は約800万ドルのままで、主力としてはかなり安い。安いうちに、その先の2年も押さえたのが今回の延長だ。年俸はセルティックスの年俸一覧で見られる。
延長1年目(2028-29)の年俸約2,120万ドルのうち、来季より増える分
- 来季より増える分61%
約1,290万ドル(約20億円)
- 来季の年俸と同じ分39%
約830万ドル(約13億円)
次の山は、開幕後の役割と2029年夏
延長は2028-29からなので、すぐにチームの年俸が増えるわけではない。今季と来季は、いまの安い契約のまま戦える。そのあいだにテイタムとプリチャードを軸に、もう一度上を目指す形だ。チームの情報はセルティックスのチームページにまとめている。
今オフは、延長の交渉が各チームで分かれている。ニックスは4人の延長交渉を止めた(「ニックスが4人の延長交渉をすべて凍結」)。セルティックスは逆に、ケイタ、ウォルシュ、プリチャードと3人をまとめて固めた。主力を早めに安く押さえる方針がはっきりしている。
見どころは、開幕後のプリチャードの使われ方だ。先発に入るのか、控えの柱のままなのか。昨季の平均17.0点を超えられれば、上限いっぱいの延長も高くは見えなくなる。2029年夏の話し合いは、31歳のプリチャードがどんな選手になっているか次第だ。