この記事のポイント
- イングラムは5月のかかとの手術で**アキレス腱の部分断裂**が見つかり、開幕に間に合わない
- ビール(ひざの腫れ)、ジョーダン・ミラー(肩)、コナン・ニーデルハウザー(足)も故障中。4人の年俸は**チーム総額の約29%**
- 米メディアの予想スタメンでは、**八村塁がパワーフォワードで先発**
- 昨季の八村は平均11.5点・3P成功率44.3%。今季は“待って決める役”から“点を取りにいく役”へ
- ガードのビールも出遅れ。キャンプ契約の河村勇輝にとっても、プレシーズンで出番が増える可能性がある
数字で見るクリッパーズの開幕前
イングラムの昨季の平均得点(ラプターズ、77試合)
メディアデーで故障が明らかになった選手
故障者4人の年俸がチーム総額に占める割合(約5,460万ドル)
八村の昨季の3P成功率(レイカーズの球団記録)
メディアデーで明らかになった4人の故障
9月28日(現地)、クリッパーズのメディアデーは、ファンへの謝罪から始まった。レナードの契約をめぐるNBAの調査で、球団は1巡目指名権5つの没収と罰金3,000万ドルという重い処分を受けている。暫定で編成のトップを務めるトレント・レデン氏は「処分は重く受け止め、従う」と話した。
その会見で、もう一つの重いニュースが伝えられた。レナードとのトレードで加わったブランドン・イングラムが、アキレス腱の部分断裂で開幕に間に合わないことだ。5月にかかとを手術した際に部分断裂が見つかり、同じ手術で修復したという。レデン氏は「開幕には間に合わない。そのときにあらためて状態を見る」と説明した(Yahoo Sports、SIなどの報道)。
故障はイングラムだけではない。股関節の手術から回復中のブラッドリー・ビールはひざの腫れでキャンプの開始に出遅れ、ジョーダン・ミラーは夏のトレーニング中に肩(回旋腱板)を痛めた。2年目のヤニック・コナン・ニーデルハウザーも足のけがからの回復途中で、開幕には間に合わない見込みだ(SI、The Sporting Tribune)。
数字で見ると:年俸の約3割が故障中
故障した4人の今季の年俸を足すと、約5,460万ドルになる。サイトのクリッパーズの年俸一覧にあるチームの総額(約1億9,010万ドル)の約29%だ。お金をかけた選手の3割近くが、開幕の時点で使えないことになる。
なかでも痛いのはイングラムだ。年俸4,000万ドルはガーランドに次ぐチーム2番目で、昨季はラプターズで77試合すべてに先発し、平均21.5点、3P成功率38.2%を記録した(Basketball Reference)。レナードを出してまで手に入れた“次のエース”が、いきなり不在になる。
イングラム本人は「ラプターズでのシーズン中、特に試合の終盤に痛みを抱えていた」と明かしている。アキレス腱の部分断裂は、完全な断裂に比べてリハビリが半年ほど短く済むとされるが、現時点では「週ごとに様子を見る」段階で、復帰の時期は決まっていない。
クリッパーズの年俸上位と、故障中の選手(2026-27)
八村塁は“待って決める役”から“点を取りにいく役”へ
イングラムの不在で、いちばん役割が変わるのが八村塁だ。米SIが示した開幕の予想スタメンは、ガーランド、クリス・ダン、デリック・ジョーンズJr.、八村(パワーフォワード)、ブルック・ロペス。イングラムが入るはずだったフォワードの枠を、八村とジョーンズJr.で埋める形になる。
昨季の八村はレイカーズで68試合に出て41試合で先発し、平均28.3分で11.5点。3P成功率44.3%はレイカーズの球団記録になった(Basketball Reference、Lakers Nation)。ただ、ルカ・ドンチッチ、レブロン・ジェームズ、オースティン・リーブスが攻撃を作るチームで、八村の役目は空いた場所で待ってシュートを決めることだった。
今季のクリッパーズで、自分から点を取れる選手はガーランドのほかに多くない。昨季の八村の数字を36分あたりに直すと約14.6点。出場時間が30分を超え、シュートの本数が増えれば、自己最多の平均得点を更新する可能性も十分にある。米メディアには「キャリアで初めて平均20点を狙えるチャンス」という声もあるが、それにはドリブルからの得点やフリースローを増やすことが欠かせない。サイトの見立てでは、平均15点前後を安定して取れれば十分な成功だ。
八村塁の昨季と、イングラム不在の今季
ルーHCの「ベストの選手より、ベストの組み合わせ」
タイロン・ルーHCは、キャンプでは先発の座をめぐる競争があると話し、「大事なのはベストの選手ではなく、ベストの組み合わせ」と強調した(Yahoo Sports)。八村が先発に定着できるかは、得点だけでなく、ガーランドやロペスと組んだときにチームがうまく回るかで決まる。
注目したいのは、イングラムが戻ってきたあとだ。イングラムが戻れば、両フォワードの先発はイングラムと、八村かジョーンズJr.のどちらかになる。守備のジョーンズJr.か、3Pの八村か。開幕からの数週間で八村が数字と勝ち星を残せば、その判断は八村に有利になる。つまり、この“穴埋め期間”は、八村が先発の座を自分のものにするための時間でもある。
八村の契約は2年(年俸1,400万ドル)で、来夏にはまた次の契約の話が出てくる。中身は八村塁の年俸・契約ページで確認できる。主力として結果を出すシーズンは、次の契約にも直結する。
河村勇輝にとっての意味
故障者が多いことは、キャンプ契約の河村勇輝にも関係する。ガードのビールが出遅れ、フォワードのミラーやコナン・ニーデルハウザーも使えないため、練習やプレシーズンで動ける選手の数が少ない。若手やキャンプ契約の選手に回ってくる出場時間は、ふだんより増える可能性がある。
ただし、故障した選手の多くは年俸が保証されており、けがをしても本契約の枠からは外れない。故障者が出たからといって、本契約の枠が空くわけではない点には注意したい。河村の現実的な目標がツーウェイ契約であることは変わらない(詳しくは「河村勇輝はクリッパーズの開幕ロスターに入れるか?」)。プレシーズンで与えられた時間に、ミスの少ないゲームメイクを見せられるかがカギになる。
日本人選手2人の最新情報は日本人NBA選手まとめ、チームの情報はクリッパーズのチームページにまとめている。開幕ロスターが決まったら、このサイトで続報を出す予定だ。
これからの流れ
- 19月28日 メディアデー
イングラムの部分断裂、ビールのひざの腫れなど、故障の情報がまとめて明らかに。
- 210月 プレシーズン
八村がパワーフォワードで先発し、どれだけシュートを打つかに注目。
- 310月下旬 開幕
イングラムは間に合わない。八村とジョーンズJr.が両フォワードを務める形が有力。
- 4イングラム復帰後
ジョーンズJr.と八村のどちらを先発に残すかを、HCのルーが判断する。