総年俸はリーグ3位、1stエプロンの向こう側
2026-27シーズンのナゲッツの総年俸は、約2億1810万ドル。30チーム中3番目に多い金額だ(NBA.Naviのサラリーデータより。Spotracの公開データを毎週自動で取り込んでいる)。
今季のサラリーキャップは約1億6500万ドル、ぜいたく税ラインは約2億40万ドル、1stエプロンは約2億900万ドル、2ndエプロンは約2億2170万ドル。ナゲッツはキャップを約5320万ドル、ぜいたく税ラインを約1770万ドル、1stエプロンを約910万ドル上回っている。2ndエプロンまでの余白は、わずか約360万ドルしかない。
リーグ全体を見ると、ぜいたく税ラインを超えたチームは13、1stエプロンを超えたチームは7つある。ナゲッツは、ウォリアーズ、ニックス、マジック、サンズ、ティンバーウルブズ、サンダーと並んで、1stエプロンの向こう側で戦う7チームの一つだ。
総年俸の上位8チームと財政ライン
- キャップ $165.0M
- ぜいたく税 $200.4M
- 1stエプロン $209.0M
- 2ndエプロン $221.7M
上位4人で総年俸の4分の3
ナゲッツのサラリーの特徴は、中心選手への集中だ。ニコラ・ヨキッチが約5900万ドル、ジャマール・マレーが約5010万ドル、アーロン・ゴードンが約3200万ドル、キャメロン・ジョンソンが約2310万ドル。この4人だけで約1億6420万ドルになり、総年俸の75.3%を占める。
リーグ30チームの平均は65.3%なので、ナゲッツはかなり“上に厚い”構造と言える。さらに5番手のクリスチャン・ブラウンが約2160万ドル。スターターの5人で、総年俸のおよそ85%が埋まっている計算だ。
その一方で、6番手以降は一気に金額が下がる。ジーク・ナジの約750万ドルを除けば、デマー・デローザン、タイアス・ジョーンズ、マービン・バグリーIIIらは、キャップ上の金額が約245万ドルの最低保証クラスの契約だ。主力5人に厚く払い、ベンチは経験のあるベテランを安く集めて埋める。これが今のナゲッツの形だ。
ナゲッツの年俸の内訳
1stエプロンを超えると何ができなくなるのか
2023年の労使協定(CBA)では、1stエプロンを超えたチームにいくつかの制限がかかる。代表的なのは、トレードで受け取る年俸が放出する年俸を上回ってはいけないこと。補強のためにサラリーを足すトレードができなくなる。
FA補強でも、キャップを超えたチームが使えるノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外(今季は約1500万ドル)は使えず、使えるのはタックスペイヤー・ミッドレベル例外(約610万ドル)だけになる。シーズン途中に解雇された高額選手を獲得することや、サイン・アンド・トレードで選手を迎えることも制限される。
さらに2ndエプロンを超えると、複数の選手の年俸を合算して放出するトレードができなくなり、将来のドラフト指名権にも制約がかかる。余白が約360万ドルしかないナゲッツは、シーズン中の補強で年俸を増やせば、すぐにこの“もう一段厳しい壁”に近づく。
ゴードンという“ちょうどいい”値段
この構造の中で、アーロン・ゴードンの約3200万ドルは興味深い位置にある。マックス級の2人より大幅に安く、それでいてロールプレイヤーの域を超えた金額だ。
ゴードンの価値は、ヨキッチの隣で必要なことを何でもこなせる点にある。相手エースへのディフェンス、リバウンド、ヨキッチのパスに合わせるカッティング、そしてトランジションでのダンク。2023年の優勝も、こうした役割を引き受ける選手がそろっていたからこそ届いたタイトルだった。
スターに厚く払う以上、3番手以降には“値段以上に働く”選手が必要になる。ゴードンの契約は、その役割に対する適正な価格として、ナゲッツの設計の要になっている。
“今勝つ”を選んだ設計図
ナゲッツは2025年7月、マイケル・ポーターJr.を放出してキャメロン・ジョンソンを獲得し、10月にはクリスチャン・ブラウンと5年総額1億2500万ドルの延長契約を結んだ。主力の顔ぶれをほぼ固めたまま、1stエプロン超えの総年俸を受け入れている。
これは、ヨキッチがリーグ最高クラスの選手である今のうちに、もう一度頂点を狙うという意思表示だ。制限の多いエプロン超えを選ぶことは、補強の自由を手放す代わりに、完成度の高い主力を手元に残す判断でもある。
ナゲッツがこの布陣でどこまで勝ち進むか。そして、もし補強に動くなら、年俸を増やせない条件の中でどんなトレードを組むのか。NBA.Naviのトレードシミュレーターでは、今季の実際のサラリーを使って、ナゲッツのトレード案がエプロンの条件を満たすかを試すことができる。