2026年ドラフトの構図——上位は“即戦力型スコアラー”が並んだ
2026年のNBAドラフトは、6月23日にニューヨークのバークレイズセンターで開催された。上位指名の顔ぶれは、大学で1年プレーした後に飛び込んできた若いスコアラーが中心で、各球団の“リビルドの顔”になり得る選手が並んだ。
ここでは、話題を集めた全体1〜3位の3人と、優勝を狙うレイカーズが全体24位で指名したキャメロン・カーを取り上げる。上位組は「どこが評価され、何が伸びしろか」、レイカーズの指名は「勝てるロスターにどうハマるか」という視点で読み解いていく。
全体1位:AJ・ディバンサ(F/BYU)——ウィザーズが託した“得点の芯”
全体1位でワシントン・ウィザーズが指名したのは、BYU(ブリガムヤング大)出身の19歳フォワード、AJ・ディバンサだ。身長206cm(6フィート9インチ)で、フレッシュマンシーズンに平均25.5得点・6.8リバウンド・3.7アシスト・1.1スティール、シュート成功率は51.0%/33.1%(3P)/77.4%(FT)という数字を残した。
評価の核は、大型フォワードでありながら自分で得点を作り切れるスコアラーとしての完成度だ。サイズとハンドリング、そしてアシストも配れる視野を併せ持ち、まさに“リビルドの軸”に据えたくなるタイプ。伸びしろとしては、3P成功率33%台という外角の安定感と、体づくりによる当たりの強さが挙げられる。ウィザーズはチーム再建の中心として、時間をかけて育てる前提でこの1位指名に踏み切った。
全体2位:ダリン・ピーターソン(G/カンザス)——ジャズの次世代バックコート
全体2位はユタ・ジャズが、カンザス大のガード、ダリン・ピーターソンを指名した。身長198cm(6フィート6インチ)クラスの大型ガードで、大学ではおよそ平均20.2得点をマークした本格派のスコアリングガードだ。
ジャズにとっての狙いは明確で、すでにチームにいるキーオンテ・ジョージと並べる“次世代バックコート”の完成だ。大型で得点力のあるガードは現代NBAで価値が高く、リビルド中のジャズが長期的な柱として2位で確保した意味は大きい。ハンドラーとしての判断とオフボールの精度が上がれば、エース格に届く素材だ。
全体3位:キャメロン・ブーザー(F/デューク)——“血統”と完成度のグリズリーズ
全体3位でメンフィス・グリズリーズが指名したのは、デューク大出身の18歳フォワード、キャメロン・ブーザーだ。かつてNBAオールスターに輝いたカルロス・ブーザーを父に持つ“サラブレッド”で、大学1年で平均22.5得点を記録した。
ブーザーの魅力は、10代とは思えない完成度の高さだ。インサイドで確実に得点でき、体の使い方やリバウンドの巧さは父譲り。爆発的なアスリートというよりは、ハイフロアの“計算できるビッグ”で、勝ち方を知るグリズリーズのロスターにすぐ馴染めるタイプと言える。上振れ余地よりも“ハズレにくさ”を買われた3位指名だ。
レイカーズの指名:全体24位キャメロン・カー(G/ベイラー)——優勝ロスターに足す“3&D”
レイカーズは1巡目、全体24位でベイラー大のガード/ウイング、キャメロン・カーを指名した。もともとレイカーズは全体25位だったが、ニューヨーク・ニックスと1枠交換(現金を含む)して24位に繰り上げ、狙った選手を確実に押さえにいった。カーは元NBA選手クリス・カーの息子でもある。
スカウティング上のプロフィールは典型的な“3&Dウイング”だ。身長は実測で約194cm(6フィート4.5インチ)ながら、ウイングスパンは約215cm(7フィート0.75インチ)と長く、ガードとしては珍しく平均1.3ブロックを記録するリムプロテクトも見せる。ベイラーでは平均18.9得点・5.8リバウンド・2.6アシスト、49%/37%(3P)/80%(FT)と、キャッチ&シュートと二次的な得点力を両立した。ブランドン・ミラーやトレイ・マーフィーIII、デビン・バセットといったウイングと比較されるタイプだ。
なぜレイカーズにカーなのか——“今すぐ勝ちにいくチーム”の指名ロジック
上位でスターの原石を狙う球団と、優勝を争うレイカーズとでは、ドラフトの目的が根本的に違う。ディバンサやピーターソンが“チームの未来そのもの”を担う指名なのに対し、24位のレイカーズが求めるのは「主力の隣で穴を埋められる、すぐ噛み合う役割選手」だ。
その観点でカーは理にかなっている。エース級のクリエイターがボールを持つ現在のレイカーズにとって、外で確実に3Pを沈め、ウイングを守れる長身の“3&D”は、ロスターの空きスペースにそのまま収まるピースだ。長いウイングスパンとブロック能力は、プレーオフの守備強度が上がる局面で特に効いてくる。1枠繰り上げてまで確保したのは、24位帯の“バリュー”としてこの完成度と穴の少なさを高く評価した証拠と言える。
課題は線の細さで、フィジカルの強化が“数カ所で良さを出せる控え”に留まるか“両面で計算できる戦力”に化けるかの分岐点になる。とはいえ、上位3人が背負う「チームを背負う期待」とは対照的に、カーの指名は『勝ちにいくチームが、必要なものだけを的確に足した』手堅い一手だ。TOP3の“未来への投資”とレイカーズの“今への補強”——同じドラフトでも狙いがくっきり分かれた点こそ、2026年ドラフトを読む面白さだろう。