この記事のポイント
- レブロンの今季年俸は**約388万ドル(約5.8億円)**。昨季の5,260万ドルから93%減で、2003年のルーキー年俸(約402万ドル)より少ない
- 76ersはエンビード、ブラウン、マクシーの3人で約1億5,650万ドル。**サラリーキャップの約95%**をすでに使っている
- 76ersはファーストエプロンが“上限”になっていて、最低年俸以外ではレブロンを取れなかった。2年契約にしたため、選手1人を解雇して枠を空けた
- 昨季は41歳で60試合・平均20.9点・7.2アシスト。キャップの2%強の年俸でこの数字なら、リーグで最も“割安”な選手になりうる
- カギは出場試合数とエンビードの状態。10月5日のニックス戦から本格的な査定が始まる
数字で見るレブロンの76ers契約(1ドル=150円で換算)
2026-27の年俸(約5.8億円)。キャリア最低
昨季レイカーズでの年俸5,260万ドルからの下げ幅
エンビード・ブラウン・マクシー3人の年俸がサラリーキャップに占める割合
41歳で迎えるNBAでのシーズン。4つ目のチーム
紅白戦で見えた“新しい76ers”
76ersは現地10月3日、本拠地のエクスフィニティ・モバイル・アリーナで恒例の紅白戦を開いた。ESPNによると観客は約1万人。10分×3クォーターで、各クォーターを80対80から始めて終盤の場面を練習する形だった。レブロンはエンビードの3ポイントをアシストし、アリウープも決めて会場を沸かせた。
試合後、レブロンは「練習でやってきたことをファンの前の試合で出せた。目指す方向への素晴らしい第一歩だった」と話した。エンビードとの連係については、2024年パリ五輪でアメリカ代表として一緒にプレーした経験があるので「うまくいっている」という。ただ、レブロンがこの日までにこなした正式な練習は4回だけ。本当の評価はこれからだ。
このオフの76ersは、セルティックスからジェイレン・ブラウンを獲得し、レブロンも加えた。エンビード、マクシー、2年目のVJ・エッジコムを含めれば、名前だけなら東の優勝候補の一角だ。オフの大きな動きは「2026-27シーズン開幕前:30チームの注目ポイントまとめ」で整理している。
年俸は93%減、ルーキー時代より安い
まず契約の中身を確認しよう。CBS SportsとNBA.comによると、レブロンは76ersと2年約800万ドルで契約した。1年目の今季は約387万6,529ドル(約5.8億円)。経験10年以上の選手に払える最低年俸で、2年目は本人が残るかどうかを選べるプレーヤーオプションになっている。
昨季、レイカーズでの年俸は約5,260万ドル(約78.9億円)だった。差は約4,870万ドル、率にして約93%の減額だ。CBS Sportsによると、2003-04シーズンのルーキー年俸は約401万8,290ドル。つまり24季目の今季は、キャリアでいちばん安いシーズンになる。これまでの年俸だけで5億8,100万ドル以上を稼いできた選手が、お金ではなく「優勝できる場所」を選んだことが数字からも分かる。
76ersの主な選手の年俸を並べると、レブロンの安さがよく分かる(上の図)。エンビードが約5,800万ドル、ブラウンが約5,770万ドル、マクシーが約4,080万ドル。レブロンは4番目のエッジコム(ルーキー契約)の3分の1にすぎない。チーム全体の年俸は76ersの年俸一覧で確認できる。
76ersの2026-27年俸 主な選手
なぜ“最低年俸”しか払えなかったのか
理由は76ersの財布にある。エンビード、ブラウン、マクシーの3人の年俸を足すと約1億5,650万ドル。今季のサラリーキャップ1億6,496万ドルの約95%を3人で使っている計算だ。キャップを超えているチームは、空いた枠で自由に選手を取ることができない。
さらに76ersは、ディーン・ウェイドとの契約にノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外(MLE)を一定額以上使ったため、ファーストエプロン(約2億902万ドル)を超えられない“ハードキャップ”の状態になった。用語は「ファーストエプロン」「ミッドレベル例外」で解説している。この状態で取れるのは、ほぼ最低年俸の選手だけだった。
ここで面白いのが「1年」か「2年」かの違いだ。ベテランが1年の最低年俸契約を結ぶと、チームの帳簿に載る額は約250万ドルで済み、差額はリーグが補てんする(ベテラン最低年俸)。ところが2年契約にはこの仕組みが使えず、帳簿上も約388万ドルになる。報道によると76ersの上限までの余裕は約340万ドルしかなく、保証のない契約だったダレン・テリーを解雇して枠を空けた。76ersは選手1人を手放してでも、レブロンに2年目の選択肢を渡したわけだ。
最低年俸でも「1年」と「2年」で何が違ったか
41歳は“割安”になれるのか
数字で見る限り、レブロンはまだ十分に戦力だ。昨季はシーズン途中に41歳になりながら60試合へ出場し、平均33.2分で20.9点・6.1リバウンド・7.2アシスト、フィールドゴール成功率51.5%を記録した。3ポイント成功率は31.7%と下がったが、ゲームを組み立てる力は健在だ。
年俸に対する働きで考えると、この契約の価値はさらに大きい。同じくらいの数字を残す選手を市場で取れば、少なくとも年2,000万〜3,000万ドルはかかるだろう。それがキャップの約2.3%で手に入った。76ersにとってレブロンは「3番目か4番目の選択肢」として起用できる、リーグで最も割安な選手になる可能性がある。
一方で不安もある。昨季はシーズンの約4分の1を欠場した。MVPなどのアワードやオールNBAの対象になるには原則65試合の出場が必要で、41歳でそれをこなすのは簡単ではない。また、76ersの浮き沈みはエンビードの膝しだいという状況が何年も続いている。ESPNによるとエンビードはキャンプで練習を1回も休んでいないというが、ここが崩れればレブロンの負担は一気に増える。
これから何を見ればいいか
最初の見どころは、現地10月5日のプレシーズン初戦だ。相手は昨季の王者ニックス。プレシーズンは主力の出場時間が短いので勝ち負けは重要ではないが、レブロンとエンビード、ブラウン、マクシーが同時にコートに立ったとき、誰がボールを持つのかは早めに見えてくる。ニックスの優勝の裏側は「レオン・ローズはどうやってニックスを53年ぶりの優勝に導いたのか」で読める。
もう一つは2027年の夏だ。レブロンは2年目のオプションを断ればFAになれる。本人は76ers入りを「最後の決断」と話しているが、契約の形は「1年で引退」も「もう1年続ける」も選べるようになっている。今季の76ersの成績が、そのままレブロンの25季目があるかどうかを決めると言ってもいい。
76ersが最後に優勝したのは1983年。最低年俸の41歳が、43年ぶりの優勝の最後のピースになるのか。サラリーキャップの仕組みは「NBAサラリーキャップの仕組み」、エプロンの詳しいルールは「セカンドエプロンとは?」、レブロンの歴史的な立ち位置は「レブロン対ジョーダン GOAT論争はどこで分かれるのか」で解説している。
レブロンの76ers入りまでと、これからの日程
- 17月6日
ブラウンのトレードが成立。ポール・ジョージと1巡目指名権2つなどをセルティックスへ
- 27月24日
レブロンが76ers入りを発表(27日に正式契約)
- 310月3日
約1万人の前で紅白戦。レブロンは「素晴らしい第一歩」
- 410月5日
プレシーズン初戦。相手は王者ニックス
- 510月20日
2026-27シーズン開幕