この記事のポイント
- エドワーズは右膝の痛みと、プレーオフで負った左膝の骨挫傷を**約2か月の完全休養**で治した。プレシーズン初戦から先発5人がそろう予定
- 先発5人の年俸は合計**約1億5,900万ドル(約238億円)**で、チーム総額の約74%。ルールで決まった使えるお金の上限(セカンドエプロン)までは約450万ドルしか残っていない
- ラメロは昨季72試合で平均20.1点・7.1アシスト、3ポイント成功272本はリーグ2位。エドワーズ(3.7アシスト)の“組み立て役”の負担を大きく減らせる
- クミンガは年俸約610万ドルで先発入り。ほかのチームのより高い条件を断り、2年目に選手オプションの付いた“自分を証明する契約”を選んだ
- 不安はラメロの足首とディフェンス、そして2033年の1巡目指名権まで差し出した代償。ナゲッツにとっては同じ地区の最大のライバルになる
数字で見る新しいウルブズ(1ドル=150円で換算)
チームの年俸のうち、先発5人の分が占める割合。ほぼ4分の3
先発5人の今季年俸の合計(約1億5,900万ドル)
ルールで決まった“使えるお金の上限”までの残り(約450万ドル)。大きな補強はもうできない
エドワーズが膝を治すためにバスケから離れた期間
エドワーズ「2か月休んで、膝は治った」
ウルブズのトレーニングキャンプで現地10月3日、エドワーズが昨季から抱えていた膝の状態を説明した。Hoops Rumorsなどによると、昨季の終盤に右膝の「ランナー膝」(膝の前側の痛み)が出て、プレーオフ1回戦では左膝を過伸展して骨挫傷を負った。シーズン後は「本当に2か月、バスケから離れた。治療を全部やって、元どおりになった」という。休んでいる間に体重が増えたが、すでに落としたとも話している。
この発言が大きいのは、昨季のウルブズがエドワーズの膝に振り回されたからだ。ナゲッツとの1回戦では第4戦で左膝を痛め、第5戦と第6戦を欠場した。それでもウルブズは第6戦を110対98で制し、4勝2敗でナゲッツを破っている。この試合ではマクダニエルズがキャリア最多の32点を挙げた。ナゲッツファンにはつらい記憶だが、エースを欠いても勝ち切ったのが昨季のウルブズだった。
ただ、2回戦のスパーズ戦では、ベンチから出場時間を制限されて戻ったエドワーズに本来の爆発力はなく、ウルブズは2勝4敗で敗れた。今季のウルブズを占う最初のポイントは、エドワーズが82試合を通して健康でいられるかどうかだ。昨季は61試合の出場で平均28.8点(リーグ3位)、3ポイント成功率39.9%という数字を残している。
先発5人で約1億5,900万ドル。“全部入り”の財布
フィンチHCが明言した先発は、エドワーズ、ラメロ・ボール、クミンガ、マクダニエルズ、ゴベアの5人。プレシーズン初戦から5人そろって出し、この組み合わせに慣れさせるという。上の図は、この5人の今季の年俸を並べたものだ。
年俸データサイトのcapmathとjjnbaによると、エドワーズが約4,890万ドル、ラメロが約4,100万ドル、ゴベアが3,650万ドル、マクダニエルズが約2,620万ドル、クミンガが約610万ドル。5人を足すと約1億5,900万ドル(約238億円)になる。チーム全体の年俸は約2億1,330万ドルでリーグ5位の高さなので、先発5人だけで約74%を使っている計算だ。
ぜいたく税のラインはすでに約1,500万ドル超えていて、ウルブズはセカンドエプロン(約2億2,170万ドル)を超えられない“ハードキャップ”の状態にある。残りは約450万ドル。シーズン中に大きな補強をする余地は、ほとんどない。つまり今季のウルブズは「この5人で勝てなければ、手の打ちようがない」チームだ。仕組みは「セカンドエプロンとは?」、チームの年俸はウルブズの年俸一覧で確認できる。
ウルブズの年俸、4分の3は先発5人
- エドワーズとラメロの2人42%
約8,990万ドル(約135億円)。2人だけで4割をこえる
- ほかの先発3人32%
ゴベア、マクダニエルズ、クミンガ
- 控えの選手(約10人)26%
ドスンム、ディヴィンチェンゾほか
ウルブズ先発5人の2026-27年俸
ラメロはエドワーズの何を補うのか
6月25日に成立した4チームのトレードで、ウルブズはホーネッツからラメロとジョシュ・グリーンを獲得した。代わりに、控えの柱だったナズ・リードがホーネッツへ、ジュリアス・ランドルがネッツへ移っている。NBA.comによると、ラメロの契約は5年約2億390万ドルのうち残り3年だ。
数字で見ると、ラメロの役割ははっきりしている。昨季は72試合で平均20.1点・7.1アシスト。3ポイント成功272本はリーグ2位だった。一方のエドワーズは得点力こそリーグ屈指だが、アシストは平均3.7本。昨季はシーズン途中にトレードで加わったアヨ・ドスンムが組み立てを助けたが、それまではエドワーズが自分で打開する場面が多かった。ボールを運び、速攻を走らせ、エドワーズに楽な形でボールを渡せる司令塔は、ウルブズに足りなかったピースそのものだ。
心配なのは2つ。1つ目はラメロの体だ。2022-23は36試合、2023-24は22試合と、足首のケガで出場が少ない時期が続いた。昨季の72試合でその不安を少し消したが、エドワーズとラメロのどちらかが欠ければ、高い年俸がそのまま重荷になる。2つ目はディフェンス。小柄ではないが守備で評価の高い選手ではないラメロと、攻撃型のエドワーズを並べるので、守りはマクダニエルズとゴベアにかかる比重がさらに大きくなる。
エドワーズとラメロの昨季(2025-26)成績
約610万ドルのクミンガは“当たりくじ”になるか
先発の5人目に入ったクミンガの契約は、2年約1,240万ドル。2年目は本人が残るかどうかを選べるプレーヤーオプションで、ウルブズはタックスペイヤー・ミッドレベル例外(ミッドレベル例外)を使って契約した。代理人によると、クミンガはより高い条件のオファーを断ってウルブズを選んだという。出場時間をしっかり得て結果を出し、来夏にもう一度FA市場に出る“自分を証明するための契約”だ。
昨季はウォリアーズとホークスで合わせて36試合に出て、平均23.1分で12.2点・5.6リバウンド。3ポイント成功率は33.3%と高くないが、フィンチHCは「運動能力、技術、パワー。これまでのうちのチームがあまり得意でなかったことを自然にできる」と、リバウンドと速攻、カッティングを評価している。先発5人の年俸のうち、クミンガの分は約4%にすぎない。ここで先発に見合う働きができれば、苦しい財布事情のなかでいちばんの“当たりくじ”になる。
一方で、リードとランドルを手放したことで控えのビッグマンは薄くなった。ゴベアが休む時間をどうしのぐかは、プレシーズンで確かめたいポイントだ。
ナゲッツから見た新しいウルブズ
ウルブズはナゲッツと同じ北西地区のチームで、2024年の2回戦、2026年の1回戦と、プレーオフで2度ナゲッツを破っている。ナゲッツにとってはいま、西でいちばん戦いたくない相手の1つだ。今季のウルブズは、エドワーズ、ラメロ、クミンガ、マクダニエルズと20代の選手が先発に4人並ぶ。若さと運動量でヨキッチのいるナゲッツを走り負かす形が、さらにはっきりしてきた。
ただ、ウルブズがこの補強に払った代償も小さくない。ホーネッツには2033年の1巡目指名権(保護なし)と、2028〜2030年の1巡目の指名権の交換権、さらに2巡目指名権3つを渡した。数年先の未来を前借りして、エドワーズが25歳のいまに勝負をかけたわけだ。勝てなければ、年俸の重さと指名権の少なさが一度にのしかかる。
まずは現地10月5日のプレシーズン初戦で、ラメロとエドワーズがどうボールを分け合うのかに注目したい。ナゲッツの今季の顔ぶれはナゲッツのチームページ、ヨキッチの契約の行方は「ヨキッチはなぜ延長にサインしないのか」、エドワーズの人柄が分かる話は「エドワーズがいつもつけているオレンジのバンド」で読める。ウルブズの基本情報はティンバーウルブズのチームページにまとめている。
新しいウルブズができるまでと、これからの日程
- 12026年5月
1回戦でナゲッツを4勝2敗で破るが、2回戦でスパーズに2勝4敗で敗退
- 26月25日
4チームのトレードでラメロ・ボールを獲得。ナズ・リードとジュリアス・ランドルが移籍
- 39月3日
ジョナサン・クミンガと2年約1,240万ドルで契約
- 410月3日
エドワーズが「膝はもう大丈夫」。フィンチHCが先発5人を明言
- 510月5日
プレシーズン初戦。先発5人そろって出場の予定