時事解説時事 / ティンバーウルブズ・ロスター分析

エドワーズの膝は回復、先発はラメロ入りの5人に。ナゲッツを倒したウルブズは強くなったのかを数字で読む

ー 先発5人の年俸は合計約1億5,900万ドル(約238億円)でチーム総額の約4分の3。ナズ・リードとランドルを出して手に入れた“新しいエンジン”の中身 ー

ティンバーウルブズのアンソニー・エドワーズが現地10月3日、昨季終盤から悩まされた両膝のケガについて「2か月休んで、もう大丈夫」と話した。同じ日にクリス・フィンチHCは、エドワーズ、ラメロ・ボール、ジョナサン・クミンガ、ジェイデン・マクダニエルズ、ルディ・ゴベアの先発5人で開幕に向かうことを明言している。昨季のプレーオフ1回戦でナゲッツを倒したチームは、ナズ・リードとジュリアス・ランドルを手放して“新しい5人”になった。この入れ替えで本当に強くなったのかを、年俸と成績の数字から読み解く。

この記事のポイント

  • エドワーズは右膝の痛みと、プレーオフで負った左膝の骨挫傷を**約2か月の完全休養**で治した。プレシーズン初戦から先発5人がそろう予定
  • 先発5人の年俸は合計**約1億5,900万ドル(約238億円)**で、チーム総額の約74%。ルールで決まった使えるお金の上限(セカンドエプロン)までは約450万ドルしか残っていない
  • ラメロは昨季72試合で平均20.1点・7.1アシスト、3ポイント成功272本はリーグ2位。エドワーズ(3.7アシスト)の“組み立て役”の負担を大きく減らせる
  • クミンガは年俸約610万ドルで先発入り。ほかのチームのより高い条件を断り、2年目に選手オプションの付いた“自分を証明する契約”を選んだ
  • 不安はラメロの足首とディフェンス、そして2033年の1巡目指名権まで差し出した代償。ナゲッツにとっては同じ地区の最大のライバルになる

数字で見る新しいウルブズ(1ドル=150円で換算)

74%

チームの年俸のうち、先発5人の分が占める割合。ほぼ4分の3

238億円

先発5人の今季年俸の合計(約1億5,900万ドル)

6.8億円

ルールで決まった“使えるお金の上限”までの残り(約450万ドル)。大きな補強はもうできない

2か月

エドワーズが膝を治すためにバスケから離れた期間

エドワーズ「2か月休んで、膝は治った」

ウルブズのトレーニングキャンプで現地10月3日、エドワーズが昨季から抱えていた膝の状態を説明した。Hoops Rumorsなどによると、昨季の終盤に右膝の「ランナー膝」(膝の前側の痛み)が出て、プレーオフ1回戦では左膝を過伸展して骨挫傷を負った。シーズン後は「本当に2か月、バスケから離れた。治療を全部やって、元どおりになった」という。休んでいる間に体重が増えたが、すでに落としたとも話している。

この発言が大きいのは、昨季のウルブズがエドワーズの膝に振り回されたからだ。ナゲッツとの1回戦では第4戦で左膝を痛め、第5戦と第6戦を欠場した。それでもウルブズは第6戦を110対98で制し、4勝2敗でナゲッツを破っている。この試合ではマクダニエルズがキャリア最多の32点を挙げた。ナゲッツファンにはつらい記憶だが、エースを欠いても勝ち切ったのが昨季のウルブズだった。

ただ、2回戦のスパーズ戦では、ベンチから出場時間を制限されて戻ったエドワーズに本来の爆発力はなく、ウルブズは2勝4敗で敗れた。今季のウルブズを占う最初のポイントは、エドワーズが82試合を通して健康でいられるかどうかだ。昨季は61試合の出場で平均28.8点(リーグ3位)、3ポイント成功率39.9%という数字を残している。

先発5人で約1億5,900万ドル。“全部入り”の財布

フィンチHCが明言した先発は、エドワーズ、ラメロ・ボール、クミンガ、マクダニエルズ、ゴベアの5人。プレシーズン初戦から5人そろって出し、この組み合わせに慣れさせるという。上の図は、この5人の今季の年俸を並べたものだ。

年俸データサイトのcapmathとjjnbaによると、エドワーズが約4,890万ドル、ラメロが約4,100万ドル、ゴベアが3,650万ドル、マクダニエルズが約2,620万ドル、クミンガが約610万ドル。5人を足すと約1億5,900万ドル(約238億円)になる。チーム全体の年俸は約2億1,330万ドルでリーグ5位の高さなので、先発5人だけで約74%を使っている計算だ。

ぜいたく税のラインはすでに約1,500万ドル超えていて、ウルブズはセカンドエプロン(約2億2,170万ドル)を超えられない“ハードキャップ”の状態にある。残りは約450万ドル。シーズン中に大きな補強をする余地は、ほとんどない。つまり今季のウルブズは「この5人で勝てなければ、手の打ちようがない」チームだ。仕組みは「セカンドエプロンとは?」、チームの年俸はウルブズの年俸一覧で確認できる。

ウルブズの年俸、4分の3は先発5人

今季のチーム年俸 約2億1,330万ドル(約320億円)の内訳。capmath・jjnbaのデータ(10月4日時点)から計算
  • エドワーズとラメロの2人42%

    約8,990万ドル(約135億円)。2人だけで4割をこえる

  • ほかの先発3人32%

    ゴベア、マクダニエルズ、クミンガ

  • 控えの選手(約10人)26%

    ドスンム、ディヴィンチェンゾほか

ウルブズ先発5人の2026-27年俸

capmath・jjnbaの年俸データ(10月4日時点)。ラメロはサイトにより4,080万〜4,120万ドル。単位は100万ドル
アンソニー・エドワーズ
$48.9M
ラメロ・ボール
$41.0M
ルディ・ゴベア
$36.5M
ジェイデン・マクダニエルズ
$26.2M
ジョナサン・クミンガ
$6.1M

ラメロはエドワーズの何を補うのか

6月25日に成立した4チームのトレードで、ウルブズはホーネッツからラメロとジョシュ・グリーンを獲得した。代わりに、控えの柱だったナズ・リードがホーネッツへ、ジュリアス・ランドルがネッツへ移っている。NBA.comによると、ラメロの契約は5年約2億390万ドルのうち残り3年だ。

数字で見ると、ラメロの役割ははっきりしている。昨季は72試合で平均20.1点・7.1アシスト。3ポイント成功272本はリーグ2位だった。一方のエドワーズは得点力こそリーグ屈指だが、アシストは平均3.7本。昨季はシーズン途中にトレードで加わったアヨ・ドスンムが組み立てを助けたが、それまではエドワーズが自分で打開する場面が多かった。ボールを運び、速攻を走らせ、エドワーズに楽な形でボールを渡せる司令塔は、ウルブズに足りなかったピースそのものだ。

心配なのは2つ。1つ目はラメロの体だ。2022-23は36試合、2023-24は22試合と、足首のケガで出場が少ない時期が続いた。昨季の72試合でその不安を少し消したが、エドワーズとラメロのどちらかが欠ければ、高い年俸がそのまま重荷になる。2つ目はディフェンス。小柄ではないが守備で評価の高い選手ではないラメロと、攻撃型のエドワーズを並べるので、守りはマクダニエルズとゴベアにかかる比重がさらに大きくなる。

エドワーズとラメロの昨季(2025-26)成績

StatMuse、NBA.com、ESPNによる。レギュラーシーズンの1試合平均
アンソニー・エドワーズ
ラメロ・ボール
出場試合
61試合
72試合
得点
28.8点(リーグ3位)
20.1点
アシスト
3.7本
7.1本
3ポイント成功
3.4本(成功率39.9%)
3.8本(成功率36.8%)
今季の年俸
約4,890万ドル
約4,100万ドル

約610万ドルのクミンガは“当たりくじ”になるか

先発の5人目に入ったクミンガの契約は、2年約1,240万ドル。2年目は本人が残るかどうかを選べるプレーヤーオプションで、ウルブズはタックスペイヤー・ミッドレベル例外(ミッドレベル例外)を使って契約した。代理人によると、クミンガはより高い条件のオファーを断ってウルブズを選んだという。出場時間をしっかり得て結果を出し、来夏にもう一度FA市場に出る“自分を証明するための契約”だ。

昨季はウォリアーズとホークスで合わせて36試合に出て、平均23.1分で12.2点・5.6リバウンド。3ポイント成功率は33.3%と高くないが、フィンチHCは「運動能力、技術、パワー。これまでのうちのチームがあまり得意でなかったことを自然にできる」と、リバウンドと速攻、カッティングを評価している。先発5人の年俸のうち、クミンガの分は約4%にすぎない。ここで先発に見合う働きができれば、苦しい財布事情のなかでいちばんの“当たりくじ”になる。

一方で、リードとランドルを手放したことで控えのビッグマンは薄くなった。ゴベアが休む時間をどうしのぐかは、プレシーズンで確かめたいポイントだ。

ナゲッツから見た新しいウルブズ

ウルブズはナゲッツと同じ北西地区のチームで、2024年の2回戦、2026年の1回戦と、プレーオフで2度ナゲッツを破っている。ナゲッツにとってはいま、西でいちばん戦いたくない相手の1つだ。今季のウルブズは、エドワーズ、ラメロ、クミンガ、マクダニエルズと20代の選手が先発に4人並ぶ。若さと運動量でヨキッチのいるナゲッツを走り負かす形が、さらにはっきりしてきた。

ただ、ウルブズがこの補強に払った代償も小さくない。ホーネッツには2033年の1巡目指名権(保護なし)と、2028〜2030年の1巡目の指名権の交換権、さらに2巡目指名権3つを渡した。数年先の未来を前借りして、エドワーズが25歳のいまに勝負をかけたわけだ。勝てなければ、年俸の重さと指名権の少なさが一度にのしかかる。

まずは現地10月5日のプレシーズン初戦で、ラメロとエドワーズがどうボールを分け合うのかに注目したい。ナゲッツの今季の顔ぶれはナゲッツのチームページ、ヨキッチの契約の行方は「ヨキッチはなぜ延長にサインしないのか」、エドワーズの人柄が分かる話は「エドワーズがいつもつけているオレンジのバンド」で読める。ウルブズの基本情報はティンバーウルブズのチームページにまとめている。

新しいウルブズができるまでと、これからの日程

日付は現地時間。NBA.com、ESPN、Hoops Rumorsの報道による
  1. 1
    2026年5月

    1回戦でナゲッツを4勝2敗で破るが、2回戦でスパーズに2勝4敗で敗退

  2. 2
    6月25日

    4チームのトレードでラメロ・ボールを獲得。ナズ・リードとジュリアス・ランドルが移籍

  3. 3
    9月3日

    ジョナサン・クミンガと2年約1,240万ドルで契約

  4. 4
    10月3日

    エドワーズが「膝はもう大丈夫」。フィンチHCが先発5人を明言

  5. 5
    10月5日

    プレシーズン初戦。先発5人そろって出場の予定

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