時事解説時事 / 日本人選手・クリッパーズ

ストラスも足のけがで開幕に間に合わず。クリッパーズは“年俸の3分の1”が欠場、八村塁と河村勇輝への影響を数字で読む

ー 開幕に出られない4人の年俸は約6,480万ドル(約97億円)。3Pの打てるウイングが減ったチームで、八村の出場時間はどこまで増えるか ー

クリッパーズのマックス・ストラスが、10月4日(現地)のプレシーズン初戦で右足の裏を痛め、“足底筋膜”の部分断裂と診断された。4週間後に再検査を受けるため、10月21日の開幕には間に合わない。アキレス腱を痛めたイングラムに続く離脱で、開幕に出られない選手の年俸はチーム全体の約3分の1になった。3Pの打てるウイングが減ったチームで、八村塁と河村勇輝の立場はどう変わるのかを数字で整理する。

この記事のポイント

  • ストラスは右足の**足底筋膜の部分断裂**。4週間後(11月初め)に再検査で、開幕(10月21日)には間に合わない
  • イングラム、ジョーダン・ミラー、コナン・ニーデルハウザーと合わせ、開幕に出られない4人の年俸は**チーム全体の約34%**(約97億円)
  • ストラスは昨季の3P成功率40.2%。3Pの打てるウイングが減り、**44.3%の八村塁**の出番とシュート数はさらに増えそう
  • 代わりの候補はグレイディ・ディック、ルーキーのワグラー、ひざから戻ったビール。それぞれに不安がある
  • 河村勇輝にとっては、プレシーズン後半の出場時間が増えるチャンス。ただし本契約の枠が空くわけではない

数字で見るストラスの離脱

4週間

ストラスが再検査を受けるまでの期間。結果しだいで復帰はさらに先になる

34%

開幕に出られない4人の年俸が、チームの年俸全体に占める割合

約25億円

ストラスの今季の年俸(約1,670万ドル)。チームで3番目に高い

12試合

ストラスが昨季のレギュラーシーズンに出た試合数。2年続けて足のけが

何が起きたか:開始5分、パスを受けた瞬間に

10月4日(現地、日本時間5日)、ハワイ・ホノルルで行われたウォリアーズとのプレシーズン初戦。試合開始から5分ほどたったところで、クリッパーズのマックス・ストラスがゴール下を横切ってパスを受けた瞬間に動きを止め、右足に体重をかけられなくなった。だれともぶつかっていない、いわゆる“非接触”のけがだ。タイロン・ルーHCはすぐにタイムアウトを取った(ESPN)。

チームがロサンゼルスに戻って検査した結果、右足の裏にある足底筋膜(そくていきんまく)の部分断裂と分かった。足底筋膜は、かかとから足の指の付け根まで足の裏に張っている膜のような組織で、走ったり跳んだりするときの衝撃を受け止める役目がある。クリッパーズは「4週間後に再検査する」と発表した。ESPNのシャムズ・シャラニア記者やHoops Rumorsが同じ内容を伝えている。

注意したいのは、4週間は「復帰の時期」ではなく「もう一度診る時期」だということだ。再検査は11月初めになり、その結果を見てから練習に戻る段取りが決まる。クリッパーズの開幕は10月21日なので、少なくとも開幕から約2週間はストラス抜きで戦うことになる。

数字で見ると:年俸の約3分の1が開幕に出られない

ストラスの今季の年俸は約1,670万ドル(1ドル=150円で約25億円)で、ダリアス・ガーランド、ブランドン・イングラムに次ぐチーム3番目の金額だ(サイトのクリッパーズの年俸一覧、Spotrac)。Hoops Rumorsによると、クリッパーズはこの夏、5チームが絡むトレードで、選手を1人も出さずにストラスを手に入れた。それだけ期待していた選手が、1試合目の5分でいなくなった。

ほかの故障者も足してみる。アキレス腱を痛めたイングラム(4,000万ドル)、肩の手術で少なくとも半年は出られないジョーダン・ミラー(530万ドル)、足のけがで開幕に間に合わない見込みの2年目のセンター、ヤニック・コナン・ニーデルハウザー(約290万ドル)。ストラスを入れた4人で約6,480万ドル、日本円で約97億円になる。チームの年俸は全体で約1億9,010万ドルなので、約34%、ちょうど3分の1ほどが開幕のコートに立てない計算だ。

メディアデーの時点でまとめた「イングラムの離脱で八村塁の役割はどう変わるか」では、故障者4人の年俸を約29%と計算した。その後、ひざの腫れで出遅れていたブラッドリー・ビールは練習に戻ってきたため、今回は外している。それでも割合は上がった。1人が戻っても、別の1人がそれ以上の穴をあけた形だ。

チームの年俸のうち、約3分の1が開幕に出られない

年俸はサイトの年俸データ(Spotrac、10月5日時点。チーム全体で約1億9,010万ドル)。1ドル=150円で計算。コナン・ニーデルハウザーは米メディアの報道で「開幕に間に合わない見込み」
  • イングラム21%

    4,000万ドル(約60億円)・アキレス腱

  • ストラス9%

    1,670万ドル(約25億円)・足の裏

  • ミラーとコナン・ニーデルハウザー4%

    合わせて820万ドル(約12億円)

  • 開幕に出られる選手66%

    約1億2,530万ドル(約188億円)

なぜ重要か:“3Pが打てるウイング”が減った

ストラスの離脱が痛いのは、年俸の大きさだけではない。ストラスはキャバリアーズ時代から、3Pを打ちながら守備もリバウンドもこなす“つなぎ役のウイング”として評価されてきた。昨季は左足の骨折から3月に戻ってきたため、レギュラーシーズンは12試合だけだったが、平均24.0分で11.2点、3P成功率40.2%、リバウンド5.4本を記録している(ESPN)。復帰戦では3Pを7本中6本決めて24点を挙げた。

今のクリッパーズで、ストラスと同じくらい3Pを決められるウイングは多くない。代わりの候補を見ると、イングラムとのトレードで来たグレイディ・ディックは、昨季76試合で3P成功率30.1%と調子を落とした(Basketball Reference)。ドラフト5位のルーキー、キートン・ワグラーはハワイで15点を挙げて決勝点も決めたが、3Pは11本中1本だった。ビールは股関節の手術明けで、昨季はわずか6試合しか出ていない。

そこで目立つのが八村塁だ。昨季の3P成功率44.3%はレイカーズの球団記録で、今のロスターでは群を抜いている。ハワイでも3Pを5本中4本決め、15分で21点を取った(詳しくは「八村塁は15分で21点、河村勇輝は4分」)。ストラスがいなくなったことで、“外から決められる選手”としての八村の価値は、開幕前よりさらに上がったと言える。

ウイングの選手の昨季の3P成功率

ESPN、Basketball Referenceの2025-26レギュラーシーズン。ストラスは12試合、八村は68試合、ディックは76試合の数字。リーグ平均はおよそ36%
八村塁
44.3%
マックス・ストラス(離脱)
40.2%
グレイディ・ディック
30.1%

八村塁の出場時間はどこまで増えるか

バスケットボールの試合は48分で、コートに立つのは5人。1試合で選手に配られる時間は合計240分だ。開幕前の予想では、イングラムが30分台、ストラスが20分台を任されるはずだった。2人を合わせると、1試合に50分以上の“空き時間”ができることになる。

この時間を、ルーHCはいくつかの方法で埋めるはずだ。1つは、八村とデリック・ジョーンズJr.の両フォワードを長めに使うこと。もう1つは、ディックやワグラーといった若手に少しずつ時間を配ること。そして、ガードを3人並べる“小さい”組み合わせを増やすことだ。昨季の八村は平均28.3分だったが、開幕からしばらくは30分を超える試合が増えるとサイトでは見ている。

出場時間が増えれば、シュートの本数も得点も増える。一方で、相手の守備が八村を一番に警戒するようになり、疲れもたまる。昨季まで“空いたところで待って決める役”だった八村が、マークされながらでも効率よく点を取れるか。開幕からの2週間は、その答えが出る期間になる。契約の中身は八村塁の年俸・契約ページで確認できる。

河村勇輝への影響と、今後の見どころ

キャンプ契約の河村勇輝にとっては、プレシーズン後半で出番が増える可能性がある。ウイングが減ると、ガードを3人同時に使う時間が長くなるからだ。ハワイでの河村の出場は4分だったが、残りのプレシーズンでミスの少ないゲームメイクを見せられれば、評価を上げるチャンスになる。

ただし、何度も書いてきたとおり、故障者が出ても本契約の15人の枠は空かない。ストラスやイングラムの年俸は保証されていて、けがをしてもロスターに残るからだ。河村の現実的な目標は、10月19日のロスター提出までにツーウェイ契約(NBAとGリーグを行き来できる契約)を勝ち取ることで、それは変わらない。枠の計算は「河村勇輝はクリッパーズの開幕ロスターに入れるか?」、仕組みは「ツーウェイ契約とは」で解説している。

見どころは3つ。1つ目は、11月初めのストラスの再検査の結果。足底筋膜のけがは長引くことがあり、2年続けて足を痛めたストラスが予定どおり戻れるかは分からない。2つ目は、プレシーズン後半で八村の出場時間とシュート数がどこまで増えるか。3つ目は、10月19日に河村がツーウェイ契約を手にできるかだ。日本人選手の最新情報は日本人NBA選手まとめ、チームの情報はクリッパーズのチームページにまとめている。開幕ロスターが決まったら続報を出す予定だ。

これからの流れ

日付は現地時間。クリッパーズの開幕戦は10月21日のキングス戦(ホーム)
  1. 1
    10月4日 ハワイ

    ストラスがウォリアーズ戦の開始5分で右足を痛める。八村は15分で21点。

  2. 2
    10月5日 診断

    右足の裏の“足底筋膜”の部分断裂と判明。4週間後に再検査。

  3. 3
    10月19日 ロスター提出

    開幕の15人と、河村のキャンプ契約をツーウェイ契約に変えるかが決まる。

  4. 4
    10月21日 開幕

    イングラムとストラスがいないまま、キングスを迎えて開幕。

  5. 5
    11月初め 再検査

    ストラスの状態をあらためて確認。そこから復帰の時期が見えてくる。

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