この記事のポイント
- 八村塁は先発して**15分で21点**(シュート11本中8本、3P5本中4本)。チームの104点の約2割を1人で取った
- 1分あたりのシュート数は昨季の**約2.4倍**。イングラム不在のチームで“点を取りにいく役”を任されている
- 河村勇輝は第3クォーター終盤に出場して**4分・1点**。会場では名前のコールが起きた
- 2人は「NBA史上初めて同じ試合に出た日本人チームメイト」と報じられた
- ただしプレシーズンの1試合で、相手のカリーも13分だけ。本当の評価は開幕(10月20日)から
数字で見るハワイの一戦(クリッパーズ104-101ウォリアーズ)
八村塁の得点。出場15分で両チーム最多
八村のシュート成功/試投。3Pは5本中4本成功
1分あたりに打ったシュートの数。昨季のレイカーズ時代と比べて
河村勇輝の出場時間。フリースロー2本中1本成功で1点
ハワイで何が起きたか
クリッパーズは2017年から何度もハワイでキャンプを張っており、今年で6回目になる。キャンプの締めくくりとして10月4日(現地)に行われたのが、ホノルルのスタン・シェリフ・センターでのウォリアーズ戦だ。観客は10,112人。クリッパーズが104-101で競り勝った(Honolulu Star-Advertiser)。
主役は八村塁だった。パワーフォワードで先発し、出場はわずか15分ながら、シュート11本中8本成功、3Pは5本中4本成功で両チーム最多の21点。リバウンド5本、ブロック1本も記録した(Star-Advertiser、Heavy、Yardbarker)。試合後は「新しいシステム、新しいチーム、新しい顔ぶれだけど、いい感触だった」と話し、さらに「これが自分のプレー。新しいことじゃない」と淡々と振り返っている。
第3クォーター終盤には河村勇輝がコートに入った。ハワイは日系の住民が多い土地で、会場からは河村の名前を呼ぶ声が上がったという。出場は4分で、フリースロー2本中1本を決めて1点。米メディアは、2人を「NBAの歴史で初めて同じ試合に出た日本人チームメイト」と伝えている(Heavy)。
クリッパーズの104点のうち、5点に1点は八村
- 八村塁20%
15分で21点
- ガーランドとワグラー29%
15点ずつ
- ほかの選手51%
河村の1点を含む
数字で見ると:シュートは昨季の2倍以上のペース
21点という数字以上に注目したいのは、シュートを打つペースだ。昨季のレイカーズでの八村は、平均28.3分の出場で8.8本のシュートを打っていた(ESPN)。1分あたりにすると約0.31本。この試合は15分で11本なので、1分あたり約0.73本になる。ざっと2.4倍だ。
3Pも同じ傾向にある。昨季は1試合3.9本で1分あたり約0.14本だったが、この日は15分で5本、1分あたり約0.33本。単純に36分に直すと約50点というペースになる。もちろん、これはプレシーズンの1試合で、相手のウォリアーズもステフィン・カリーが13分で切り上げるなど、主力をほとんど使っていない。この数字がそのままシーズンの成績になるわけではない。
それでも、チームの104点のうち21点、約2割を八村1人で取ったことは、ルーHCが八村に何を求めているかをよく表している。ほかに目立ったのはダリアス・ガーランド(シュート4本すべて成功で15点)と、ルーキーのキートン・ワグラー(15点、ただし3Pは11本中1本)。点を取る役はまだ固まっておらず、八村がその中心に入りつつある。
昨季の八村と、クリッパーズでの初戦
なぜ重要か:“待って決める役”からの卒業
この試合が重要なのは、八村の役割が変わったことが数字に出たからだ。レイカーズ時代の八村は、ルカ・ドンチッチ、レブロン・ジェームズ、オースティン・リーブスが攻撃を作るチームで、空いた場所で待ってシュートを決める役だった。昨季の3P成功率44.3%はレイカーズの球団記録だが、打つ本数は多くなかった。
今季のクリッパーズは事情が違う。レナードを出して手に入れたブランドン・イングラムがアキレス腱の部分断裂で開幕に間に合わず、昨季1試合21.5点を挙げたエースがいない。そのぶんの得点を誰が埋めるのか。この問題は「イングラムの離脱で八村塁の役割はどう変わるか」で整理したが、ハワイの初戦はその答えの1つが八村だと示した形になった。
報道によると、ルーHCは八村にもっと積極的に打つよう求めている。八村自身も「プレーオフをたくさん経験してきた」と、大きな役割への自信を見せた。試合中にはマックス・ストラスもけがをしたと報じられており(程度は未確認)、ウイングの人数が減れば、八村の出場時間とシュート数はさらに増える可能性がある。
契約の面でも意味がある。八村の契約は2年で、今季の年俸は1,400万ドル(1ドル=150円で約21億円)。チームで4番目の金額だ。主力として結果を出せば、来夏以降の次の契約の値段も上がる。契約の中身は八村塁の年俸・契約ページで確認できる。
河村勇輝の4分と、ツーウェイ契約への道
河村の4分は短い。ただ、キャンプ契約の選手にとって、プレシーズンで出番をもらえること自体が評価の場だ。八村は試合後、河村について「少し緊張していたけど、短い時間でやるべきことはやった。チャンスが増えれば自分の役割を見つけられる。彼は大丈夫」と話している(Heavy)。
河村の契約は、1年・年俸の保証なしのExhibit 10と呼ばれるキャンプ契約だ。開幕前にクリッパーズが選べば、NBAとGリーグを行き来するツーウェイ契約に変えられる。本契約の15人の枠はほぼ埋まっているため、現実的な目標はこのツーウェイ契約の3枠のどれかに入ることになる。枠の数の詳しい計算は「河村勇輝はクリッパーズの開幕ロスターに入れるか?」、ツーウェイ契約の仕組みは「ツーウェイ契約とは」で解説している。
この試合でクリッパーズは、ビール、イングラム、ジョーダン・ミラーらの故障でガードやウイングの人数が足りていない。河村にとっては、残りのプレシーズンでミスの少ないゲームメイクを見せ、出場時間を少しずつ伸ばせるかがカギになる。4分の出場はスタートラインにすぎない。
今後どうなるか
注意したいのは、プレシーズンの数字は割り引いて見る必要があることだ。相手の主力は短い時間しか出ておらず、クリッパーズも新しい組み合わせを試している段階だ。八村の21点は「好調なスタート」であって、「平均20点の選手になった」という意味ではない。サイトの見立てでは、シーズンで平均15点前後を安定して取れれば十分な成功だ。
見どころは3つある。1つ目は、残りのプレシーズンでも八村のシュート数が昨季より多いままか。2つ目は、ガーランドと組んだときに、八村がドリブルからの得点やフリースローを増やせるか。3つ目は、河村がツーウェイ契約を勝ち取れるか。開幕ロスターの提出期限は10月19日、レギュラーシーズンは10月20日に始まる。
日本人選手2人の最新情報は日本人NBA選手まとめ、チームの情報はクリッパーズのチームページ、年俸はクリッパーズの年俸一覧にまとめている。開幕ロスターが決まったら、このサイトで続報を出す予定だ。
開幕までの流れ
- 110月4日 ハワイ
八村が先発で21点。河村は第3クォーター終盤に出場し4分。
- 210月中旬 プレシーズン後半
主力の出場時間が増え、八村の役割と先発の組み合わせが固まっていく。
- 310月19日 ロスター提出
河村のキャンプ契約(Exhibit 10)をツーウェイ契約に変えるかどうかの判断が出る。
- 410月20日 開幕
イングラムは不在のまま。八村が“点を取りにいく役”を続けられるかが本番。