名GM、HC球団社長 / ニックス

レオン・ローズはどうやってニックスを53年ぶりの優勝に導いたのか

ー 代理人出身の球団社長が6年かけて積み上げた“補強の順番” ー

2026年6月、ニックスはファイナルでスパーズを4勝1敗で下し、53年ぶりの優勝を果たした。チームを作ったのは、2020年に球団社長に就いた元代理人のレオン・ローズだ。スター選手を一気に集めるのではなく、順番を守って一手ずつ積み上げた6年間を振り返る。

この記事のポイント

  • 2020年に球団社長に就任。**元は大手エージェンシーの選手代理人**
  • 最初の大型補強はスターではなく、当時“2番手級”と見られていた**ブランソン**
  • 指名権を貯めてから一気に使い、アヌノビー、ブリッジズ、タウンズを獲得
  • 東の決勝まで進んだシボドーを解任し、**マイク・ブラウン**を招いて優勝
  • 2026年は**プレーオフ16勝3敗**。ブランソンがファイナルMVP

数字で見るローズ体制のニックス

53年ぶり

2026年、球団3度目の優勝

16-3

2026年プレーオフの成績。最後の16試合で15勝

53-29

2025-26のレギュラーシーズン(東3位)

6年

2020年の球団社長就任から優勝まで

“代理人出身の社長”という異色の経歴

レオン・ローズがニックスの球団社長に就いたのは2020年。それまでは大手エージェンシーCAAで、NBA選手の契約交渉を担当する代理人だった。同じくCAA出身で、リーグの裏方として顔の広いウィリアム・ウェズリーも一緒にフロントに加わった。

当時のニックスは、大都市の人気球団でありながら長く低迷し、リーグの“笑いもの”とまで言われていた。代理人出身の社長には「選手との関係は作れても、チームを作れるのか」という疑いの目も向けられた。

それから6年。ニックスは2026年のファイナルでスパーズを4勝1敗で下し、53年ぶりの優勝を果たした。ローズのやり方を一言でまとめるなら、「一気に勝ちにいかず、順番を守る」だ。

最初の一手は“スター”ではなくブランソン

ローズ体制の転機は、2022年7月のジェイレン・ブランソンの獲得だ。マーベリックスでドンチッチの相棒だったブランソンに、FAで4年総額約1億400万ドルを出した。当時は「2番手の選手にこの金額は払いすぎ」という見方も少なくなかった。

ところがブランソンは、ニックスでエースとして一気に花開いた。ここで大事なのは、ローズが“完成したスター”を大金で連れてくるのではなく、伸びる余地のある選手に先に賭けたことだ。大物を狙ってFAで空振りを続けた過去のニックスとは、発想が逆だった。

2023年2月にはジョシュ・ハートをトレードで獲得。リバウンドと走力で試合の流れを変えるハートは、のちに優勝チームに欠かせない“エンジン”になる。

優勝までの主な一手

ローズ就任後の主な補強と人事。年月は現地
  1. 1
    2022年7月 ジェイレン・ブランソン

    FAで4年総額約1億400万ドル。「払いすぎ」の声もあったが、ここからすべてが始まった。

  2. 2
    2023年2月 ジョシュ・ハート

    トレードで獲得。リバウンドと走力でチームの“エンジン”に。

  3. 3
    2023年12月 OG・アヌノビー

    RJ・バレットとイマニュエル・クイックリーを出して、守れるウイングを確保。

  4. 4
    2024年夏 ミカル・ブリッジズ

    大量の1巡目指名権と引き換えに獲得。ブランソンは満額より安い延長で後押しした。

  5. 5
    2024年10月 カール=アンソニー・タウンズ

    ジュリアス・ランドルらを出して、外から打てるビッグマンを獲得。

  6. 6
    2025年夏 マイク・ブラウンをHCに

    東の決勝まで進んだシボドーを解任。翌年、優勝をつかむ。

指名権を貯めて、一気に使う

ローズは就任後しばらく、目先の補強のために将来の指名権を手放すことを避けた。他チームから集めた1巡目指名権も含め、トレードの“弾”を貯めていたのだ。

その弾を使い始めたのが2023年12月。RJ・バレットとイマニュエル・クイックリーを出して、守備の強いウイング、OG・アヌノビーを獲得した。2024年の夏にはネッツからミカル・ブリッジズを獲るために、大量の1巡目指名権を差し出した。2023年夏にFAで加わったドンテ・ディヴィンチェンゾも含め、ブランソン、ハート、ブリッジズとヴィラノバ大学の出身者がそろい、“ノバ・ニックス”とも呼ばれた。

同じ夏、ブランソンは待てば狙えたスーパーマックスではなく、4年約1億5,600万ドルという満額より安い延長にサインした。浮いた資金がブリッジズの年俸を支え、主力をそろえたまま戦えるようになった。この決断の意味は「ニックスの強さの秘訣」で詳しく書いた。そして2024年10月、ジュリアス・ランドルらを出してカール=アンソニー・タウンズを獲得し、今の主力の形がそろった。

「あと一歩」の段階でHCを替える決断

2025年、ニックスは25年ぶりに東の決勝(カンファレンス・ファイナル)まで進んだ。ところがローズはその直後の6月、チームを立て直したトム・シボドーHCを解任する。「この先の一段上に連れていけるHCではない」という判断だった。

後任に選んだのはマイク・ブラウン。キャバリアーズで若きレブロンをファイナルに導き、ウォリアーズのアシスタントとして優勝を経験し、キングスでは最優秀HCにも選ばれた。一方で、キングスでは3季目の途中、2024年12月に解任されたばかりだった。

ブラウンは攻撃の形を作り直し、控え選手を信頼して使うことで、主力の出場時間を抑えた。シボドー時代は主力が長い時間を戦い、プレーオフで疲れが出るのが課題だった。その結果、2025-26は53勝29敗(東3位)。プレーオフでは1回戦でホークスに1勝2敗とリードされたあと、最後の16試合を15勝1敗で駆け抜けた。2回戦とカンファレンス・ファイナルは、どちらも4連勝だった。

ローズのチーム作りから見えること

ローズの6年間を振り返ると、補強の順番がはっきりしている。まずチームの軸になる選手(ブランソン)を見つける。次に、その選手の周りで戦える仲間(ハート、アヌノビー)をそろえる。貯めた指名権を使って主力を一気に引き上げ(ブリッジズ、タウンズ)、最後に、勝ちきるためのHCを選ぶ。

どれか一つだけなら、ほかの球団もやっている。ローズのすごさは、どの段階でも“次の一手”を急がず、前の一手がうまくいってから動いたことだ。その積み重ねが、ファイナルMVPに輝いたブランソンを中心とした、穴の少ないチームになった。

優勝がニューヨークにもたらした影響は「ニックス53年ぶり優勝の経済効果」、今季の主力の年俸はニックスの年俸一覧で確認できる。過去の名将・名GMについては「NBA名将・名GM列伝」もあわせて読んでほしい。

関連グッズ

PR アフィリエイト広告を含みます
レオン・ローズ ユニフォーム
レオン・ローズ グッズ
NBA Tシャツ
ショップで他のアイテムも見る

このサイトを応援する

NBA.Naviは個人で運営しています。記事やゲームが「面白い」と思ってもらえたら、コーヒー1杯ぶんの応援でサイトの維持・更新を支えてもらえます。

コーヒー1杯ぶん応援するOFUSE で受け付けています