なぜセルティックスは強いのか?歴代有能フロントの系譜
セルティックスの強さは、偉大な選手だけで説明できない。レッド・アワーバック、ダニー・エインジ、ブラッド・スティーブンスへと続くフロントの判断力が、時代ごとにチームを作り直してきた。
セルティックスの強さはフロントの歴史でもある
セルティックスはNBA最多クラスの優勝回数を誇る名門だが、その成功は単に偉大な選手を引き当てたからではない。時代ごとに優秀なフロントがチームの現在地を冷静に見極め、必要なタイミングで大胆な判断を下してきたことが、長く勝ち続ける土台になっている。
名門チームほど過去の栄光や人気選手への感情に引っ張られやすい。それでもセルティックスは、王朝を作る時も、再建に踏み切る時も、優勝を狙う最後のピースを取りに行く時も、フロント主導で勝つための形を作ってきた。
レッド・アワーバックが作った王朝の原点
セルティックス成功の原点は、やはりレッド・アワーバックにある。名将として語られることが多いが、編成面でもNBA史上最高クラスの存在だった。ビル・ラッセル獲得は、リーグ史に残るフロント判断の一つであり、守備とチームプレーを中心に据えた王朝の始まりだった。
アワーバックは黒人選手を積極的に起用し、NBA初の黒人ヘッドコーチ誕生にもつながる流れを作った。1957年から1969年までの11度の優勝は、コート上の強さだけでなく、時代の先を読む組織作りの勝利でもあった。
1980年代のビッグ3もフロント判断から生まれた
アワーバック後期のセルティックスは、1978年ドラフトでラリー・バードを指名し、さらにケビン・マクヘイル獲得につながる巧みなトレードを成立させた。そこにロバート・パリッシュが加わり、1980年代を代表するビッグ3が完成する。
バード、マクヘイル、パリッシュの組み合わせは、単なるスター集めではなかった。ポジション、役割、性格、チーム文化まで噛み合った編成であり、1980年代に3度の優勝をもたらした。セルティックスのフロントが長く評価される理由は、こうした組み合わせの作り方にある。
ダニー・エインジは再建と勝負勘を両立した
2003年から2021年まで編成を担ったダニー・エインジは、セルティックス史上でも最高クラスのGMだ。2007年にはケビン・ガーネットとレイ・アレンを獲得し、ポール・ピアースと合わせた新ビッグ3を結成。翌2008年には優勝を達成した。
さらに大きかったのが2013年のブルックリン・ネッツとのトレードだ。高齢化したビッグ3を放出し、大量の指名権を獲得。この判断が後のジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン中心の時代につながった。感情ではなく価値で動いた、NBA史に残る神トレードだった。
ブラッド・スティーブンスが完成形へ導いた
2021年にHCから編成責任者へ転身したブラッド・スティーブンスは、短期間で優勝チームを完成させた。デリック・ホワイト獲得は当初こそ過払いとも言われたが、今ではリーグ最高級のロールプレイヤー補強として評価されている。
さらにジュルー・ホリデーで守備力と経験を加え、クリスタプス・ポルジンギスでインサイドと攻撃の幅を広げた。エインジが残したテイタムとブラウンの土台に、スティーブンスが必要なピースを正確に足したことで、2024年の優勝につながった。
なぜセルティックスのフロントは優秀なのか
共通点は、感情に流されないこと、長期視点を持つこと、そしてスターの名前より価値を重視することだ。ポール・ピアースやケビン・ガーネットの放出は簡単な判断ではなかったが、未来の優勝確率を上げるために必要な決断だった。
また、テイタム指名につながった1位から3位へのトレードのように、市場価値を読む力も高い。今だけを見るのではなく、5年後、10年後に勝てる形を作る。セルティックスが長く優勝争いに残る理由は、まさにそこにある。
有能フロントランキング
1位はダニー・エインジ。2008年優勝を作り、さらに2013年のネッツトレードで次の優勝チームの土台まで残した点を考えると、現代セルティックス最大の功労者と言える。勝負に出る判断と、引く判断の両方を持っていた。
2位はレッド・アワーバック、3位はブラッド・スティーブンス。アワーバックは王朝の原点を作った歴史的存在であり、スティーブンスはエインジの土台を2024年の完成形へ導いた。セルティックスの歴史は、偉大な選手の歴史であると同時に、偉大なフロントの歴史でもある。
この記事はNBA.Navi編集部が作成・更新しています。