この記事のポイント
- デュレンはピストンズと**5年2億ドル(全額保証)**で合意。期限の約90分前だった
- オールNBA選出で上限は5年2.87億ドル。合意額は**上限の約7割**
- 1年960万ドルのオファーを受けて来夏FAになっても、他チームとの上限は4年約1.89億ドルの試算
- 昨季は平均19.5点・10.5リバウンド、FG成功率65.0%。ピストンズは60勝で東の1位
- 総年俸がキャップを下回っていたピストンズは、合意後もぜいたく税ラインの手前に収まる見込み(サイトの試算)
数字で見るデュレンの契約(報道ベース)
ピストンズと合意した5年契約(全額保証)
オールNBA選出で結べた5年の上限
選ばなかった1年契約(クオリファイング・オファー)
期限(東部時間10月1日23時59分)の何分前に合意したか
期限90分前の決着
ピストンズのセンター、ジェイレン・デュレンが、5年2億ドルの契約に合意した。ESPN、AP通信、Yahoo Sportsなどが一斉に報じた。合意したのは、制限付きFAの選手が1年契約の「クオリファイング・オファー」(1年960万ドル)を受けられる期限、東部時間10月1日23時59分の約90分前だった。
デュレンは昨季、平均19.5点・10.5リバウンド、FG成功率65.0%を記録し、オールスターとオールNBA3rdチームに初めて選ばれた(Basketball Reference)。ピストンズは60勝22敗で東の1位になった。その中心の一人が、夏からずっと契約のないまま、キャンプを迎えていた。
報道によると、夏の間の提示は1億7,000万〜1億9,000万ドル。最後はピストンズが全額保証の2億ドルまで引き上げ、デュレンがそれを受け入れた形だ。
960万ドルの1年契約は“賭け”だった
デュレンにはもう一つの道があった。1年960万ドルのクオリファイング・オファーを受ければ、今季の年俸は大きく下がる代わりに、来夏はどのチームとも自由に交渉できる完全なFAになれる。報道では、デュレンはこの道を本気で考えていたという。もし選んでいれば、オールNBAに選ばれた選手としては史上初のケースになるところだった。
ただ、数字で見ると、この賭けは割に合いにくい。SIの試算では、来夏にFAとして他チームと結べる契約の上限は4年で約1億8,900万ドル。今季の960万ドルと足しても約1億9,860万ドルで、ピストンズの2億ドルにわずかに届かない。しかも他チームとは最長4年しか結べないので、5年目の保証もなくなる。
さらに、1年契約で1シーズンを戦えば、その間のけがや不調はすべて自分のリスクになる。全額保証の2億ドルを“いま”手に入れることは、22歳の選手にとって大きな安心だ。FAの仕組みは「NBAのFAとは?」で解説している。
デュレンが選べた2つの道
それでも「上限の7割」にとどまった理由
一方で、デュレンはオールNBAに選ばれたことで、上限の大きい契約を結べる資格を持っていた。その上限は5年で約2億8,700万ドル。合意した2億ドルは、その約7割にあたる。差は約8,700万ドルだ。
なぜここまで届かなかったのか。最大の理由は、デュレンが制限付きFAだったことにある。他チームが条件を提示しても、ピストンズは同じ条件を出せば引き留められる。SIによると、キングスやバックスがサイン&トレードに関心を示したが、ピストンズは応じなかった。“ほかに行く道”を作れなかったことが、交渉で押し切れなかった理由だ。
比べると分かりやすい。ロケッツのアメン・トンプソンは、オールNBAに選ばれたことはないが、9月に5年約2億800万ドルの延長を結んだ(NBA.com)。デュレンの2億ドルは、成績の割には“お買い得”と言える数字だ。
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ピストンズにとっての2億ドル
ピストンズにとって、この契約は悪くない。サイトのピストンズの年俸一覧(9月29日時点)では、デュレンを除いた総年俸は約1億5,430万ドルで、30チームで最も少ない。ケイド・カニングハムの年俸は約5,010万ドルだ。
5年2億ドルを毎年同じ額(約4,000万ドル)とすると、今季の総年俸は約1億9,430万ドルになる。ぜいたく税ライン(2億43万ドル)の約600万ドル手前に収まる計算だ(サイトの試算。実際の年ごとの金額は公表待ち)。60勝したチームの主力を残しながら、税を払わずに済む位置にいる。
ただし、来季以降は楽ではない。SIの報道では、オーサー・トンプソンも5年約1億5,500万ドルの延長に合意しており、来季から年俸が大きく上がる。カニングハム、デュレン、トンプソンの3人がそろって高い年俸になる来季は、ぜいたく税ラインとの戦いが始まる。仕組みは「ぜいたく税ラインを超えた13チーム」で詳しく解説している。
同じ「2億ドル」でも意味は違う
偶然だが、同じ“2億ドル”という数字は、ニックスのタウンズの延長交渉でも出てきている。ニックス側が妥当とみるのが4年約2億ドルで、タウンズの上限は4年約2億7,600万ドルだ(「タウンズとニックスの延長交渉はなぜ止まった?」)。
22歳で伸び盛りのデュレンにとっての2億ドルは、30代を迎える前の5年間を保証するお金だ。31歳になるタウンズにとっての2億ドルは、30代後半まで続く契約の金額になる。同じ金額でも、年齢と交渉の立場によって意味はまったく違う。
デュレンの次の注目は、新しい契約での最初のシーズンだ。2億ドルにふさわしい活躍を、プレーオフの大舞台でも見せられるかが問われる。ピストンズの開幕は10月下旬。年ごとの金額が明らかになったら、サイトの年俸データにも反映する。
長かった交渉の流れ
- 12026年夏
制限付きFAに。ピストンズとの交渉は1億7,000万〜1億9,000万ドルの間で進まない。
- 29月 キャンプ開始
契約がないままキャンプへ。1年契約を受けて来夏FAになる可能性が現実味を帯びる。
- 3期限の直前
ピストンズが全額保証の5年2億ドルまで提示を引き上げる。
- 410月1日 期限の90分前
デュレンが5年2億ドルを受け入れ、約4か月のにらみ合いが終わる。