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「AJ・ディバンサのために抑えていた」ウィザーズの“タンキング告白”と、来年から変わるロッタリー

ー 最下位の1位指名確率は14%から5.4%へ。新ルール「3-2-1ロッタリー」で、わざと負ける意味はどこまで消えるか ー

ウィザーズのバブ・キャリントンが「AJ・ディバンサを取るために、みんな抑えられていた」と話し、昨季のタンキングを事実上認めた。リーグは処分しない見込みだが、来年のドラフトからはロッタリーの仕組みそのものが大きく変わる。最下位の1位指名確率は14%から5.4%へ。新ルールで“負けるほど得をする”構図はどこまで崩れるのかを数字で読む。

この記事のポイント

  • ウィザーズのキャリントンが「ディバンサのために抑えられていた」と発言。リーグは**処分しない見込み**
  • 昨季のウィザーズは17勝65敗で最下位。14%の確率を引き当てて1位指名でディバンサを獲得した
  • 2027年からの新ロッタリーでは、最下位3チームの1位確率は**14%から5.4%**に下がる
  • いちばん確率が高いのは“下から4〜10番目”の8.1%。**最下位を狙う意味は大きく減る**
  • 1位指名の2年連続は禁止。ウィザーズは来年、どんな成績でも1位指名を引けない

数字で見るタンキングと新ロッタリー

17-65

昨季のウィザーズの成績(リーグ最下位)

14%

これまでの最下位3チームの1位指名確率

5.4%

2027年からの最下位3チームの1位指名確率

8.1%

2027年からの“下から4〜10番目”の1位指名確率(最も高い)

「ディバンサのために、抑えられていた」

ウィザーズの若手ガード、バブ・キャリントンが、地元テレビ局WUSA9のインタビューで口をすべらせた。「僕らは全員、ベストを出すようには言われていなかった。AJ・ディバンサを取ろうとしていたから抑えられていた。それは秘密でも何でもない」(Yahoo Sports、Hoops Rumorsなどの報道)。

ウィザーズは昨季、17勝65敗でリーグ最下位に終わり、ロッタリーで1位指名権を引き当てて、大学の大型フォワード、AJ・ディバンサを指名した。キャリントンの発言は、その最下位が“狙ったもの”だったと、選手の側から認めた形になる。

それでもリーグは、キャリントンにもウィザーズにも処分を出さない見込みだと、The Athleticのサム・エイミック記者が伝えた。選手の“本音”が表に出ても、チームとしての指示があったかどうかを確かめるのは簡単ではない。

なぜチームは“負けたがる”のか

タンキングとは、ドラフトで上位の指名権を得るために、わざと勝たないようにすることだ。主力を休ませる、若手ばかり起用する、勝てる試合で無理をしない——形はさまざまだが、目的は1つ、成績を下げてロッタリーの確率を上げることだ。

これまでのロッタリーでは、最下位から3チームまでが、それぞれ14%の確率で1位指名権を得られた。最下位になれば、悪くても5位以内の指名権が保証される。ディバンサのような“チームを変える選手”が出る年は、この14%を取りにいく動機がとても強くなる。ロッタリーの歴史は「ドラフトロッタリーは不正?」でも紹介している。

リーグもタンキングには目を光らせてきた。2026年2月には、主力の起用をめぐってジャズに50万ドルの罰金を科している(Yahoo Sports、Deseret News)。それでも、シーズンを通した“チームぐるみの最下位”を証明するのは難しい。

新しい「3-2-1ロッタリー」で何が変わるか

そこでNBAは、仕組みそのものを変えた。2026年5月のオーナー会議で、「3-2-1ロッタリー」が29対1で承認された(反対はグリズリーズだけ)。2027年のドラフトから2029年まで使われる。

名前のとおり、カギは抽選の“玉の数”だ。プレーオフにもプレーインにも届かなかったチームは3個ずつ。ただし、成績が下から3番目までのチームは1個減らされて2個になる。プレーインの9位・10位は2個、7位・8位決定戦の負けたチームは1個。合計は37個で、16チームの指名順をすべて抽選で決める(NBA公式発表)。

玉の数から計算すると、最下位3チームの1位確率は約5.4%。これまでの14%の半分以下になる。逆にいちばん高いのは、下から4〜10番目のチームの約8.1%だ。つまり、最下位まで落ちるより“そこそこ弱い”ほうが、1位を引ける確率は高くなる。

2027年からの1位指名の確率(成績順)

NBAの発表した玉の数(合計37個)からサイトが計算。プレーインのチームは順位によって玉の数が違う
下から1〜3番目(最下位3チーム)
5.4%
下から4〜10番目
8.1%
プレーインの9位・10位
5.4%
プレーインの7位・8位決定戦の敗者
2.7%

数字で見ると:最下位を狙う意味は小さくなる

新ルールでは、最下位3チームの“最低保証”も変わる。これまでは悪くても5位指名だったが、新ルールでは12位まで落ちる可能性がある。その他のロッタリーのチームは16位まで落ちうる。最下位でいることの“保険”は、まだ少し残るものの、大きく薄まった。

具体的に比べてみよう。これまでのルールでは、最下位(14%)と下から4番目(12.5%)の差は1.5ポイントで、順位が1つ下がるほど得をした。新ルールでは、下から3番目(5.4%)と4番目(8.1%)で向きが逆になる。最下位と4番目の差はたいてい数勝しかないので、その数勝をわざと落とす理由がなくなるわけだ。

さらに、1位指名を2年続けて取ることはできず、トップ5の指名を3年続けて取ることもできない。2026年に1位を取ったウィザーズは、2027年はどんな成績でも1位を引けない。コミッショナーには、タンキングと判断したチームの確率を下げたり、指名順を変えたり、重い罰金を科したりする権限も与えられた。

もちろん、完全にタンキングがなくなるわけではない。8.1%の“いちばんおいしい位置”をめぐって、シーズン終盤に順位を調整する動きは残るだろう。ただ、丸1年を捨てて最下位を取りにいく作戦は、割に合わなくなったと言える。

これまでのロッタリーと、新しい「3-2-1ロッタリー」

NBAの公式発表(2026年5月)をもとに整理
これまで(2026年まで)
3-2-1ロッタリー(2027〜2029年)
参加チーム
14チーム
16チーム(プレーインの敗者も参加)
最下位3チームの1位確率
各14%(最も高い)
各5.4%(玉を1つ減らされる)
抽選で決まる指名順
1〜4位
1〜16位すべて
最下位3チームの“最低保証”
5位まで
12位まで
連続の制限
なし
1位は2年連続不可、トップ5は3年連続不可

ウィザーズとリーグのこれから

ウィザーズは今季、ディバンサに加え、アンソニー・デイビスとトレイ・ヤングをそろえた(「2026-27シーズン開幕前:30チームの注目ポイントまとめ」)。“抑えて”いたチームが、今季はどこまで勝ちにいくのかが最初の見どころになる。

リーグ全体で見れば、新ルールの最初のロッタリーは2027年5月だ。シーズン終盤、プレーオフに届かないチームが“最下位争い”ではなく“下から4〜10番目”の位置をどう考えるか。順位表の下の方にも、新しい見どころが生まれる。ルールの基本はNBA用語辞典でも確認できる。

新ルールは2029年までの期限つきで、その後の仕組みはあらためて決める。キャリントンの一言は、まさにリーグがなくそうとしている“負けるほど得をする”構図を、選手の口から語った形になった。

これからの流れ

新ルールは2029年のドラフトまでの期限つき
  1. 1
    2026年5月

    オーナー会議が3-2-1ロッタリーを29対1で承認(反対はグリズリーズだけ)。

  2. 2
    2026年10月

    ウィザーズのキャリントンの発言が話題に。リーグは処分しない見込み。

  3. 3
    2027年5月

    新ルールで初めてのロッタリー。ウィザーズは2年連続の1位指名ができない。

  4. 4
    2029年以降

    2030年からの仕組みは、あらためてオーナー会議で決める。

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