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ゾーンディフェンスの種類|2-3・3-2・ボックス&ワンをコート図で解説

ー 人ではなく“場所”を守る。NBAでは珍しいからこそ、使われた瞬間に試合が動く ー

バスケットボールの守り方は大きく2つある。1人が1人をつく「マンツーマン」と、それぞれが決まった“場所”を守る「ゾーン」だ。NBAではマンツーマンが基本で、ゾーンは試合の流れを変えたい場面で使われる“切り札”になっている。代表的な2-3ゾーン、3-2ゾーン、そしてエースを消すボックス&ワンを、コート図で解説する。

この記事のポイント

  • ゾーンは、人ではなく**決まった場所(エリア)**を5人で分担して守る守り方
  • 名前の数字は、ゴールから遠い列から数えた**選手の並び方**(2-3なら前に2人、後ろに3人)
  • どのゾーンにも**固い場所と空く場所**があり、攻撃側は空く場所にボールを入れて崩す
  • NBAでゾーンが認められたのは**2001-02シーズン**から。「ディフェンス3秒」ルールもあって、使われる時間は限られる
  • **ボックス&ワン**は、4人のゾーンと1人のマンツーマンを組み合わせた“エース封じ”

ゾーンディフェンスとは:“人”ではなく“場所”を守る

マンツーマンでは、守備の5人がそれぞれ決まった相手を1人ずつ担当し、相手がどこへ動いてもついていく。これに対してゾーンディフェンスは、5人がコートの決まった場所を分担して守る。自分のエリアに入ってきた相手を守り、エリアから出ていけば隣の味方に受け渡す。

ゾーンの名前は、ゴールから遠い列から数えた選手の並び方を表している。2-3ゾーンなら前の列に2人、後ろの列に3人。3-2ゾーンなら前に3人、後ろに2人だ。ほかにも1-3-1や1-2-2といった並び方がある。

ゾーンの強みは、ドライブ(ドリブルでゴールに切り込むこと)が止めやすいことと、守備の苦手な選手を目立たない場所に隠せることだ。マンツーマンでは、守備の弱い選手がピック&ロールで狙われ続けることがある(ピック&ロールの守り方を参照)。ゾーンなら、その選手を相手と1対1にさせずに済む。

代表的な3つのゾーン

ゴールを上にしたハーフコート。×の並び方がそのままゾーンの名前になる。矢印は、それぞれのゾーンを攻める代表的な動き
① 2-3ゾーン
X1X2X3X5X412345

前に2人、後ろに3人。ゴール下とローポストが固い。弱点は2列の“あいだ”にあるフリースローライン付近(ハイポスト)。5がそこに走り込んでボールを受けると、守備は誰が出るか迷う。

② 3-2ゾーン
X2X1X3X4X512345

前に3人が横に並び、3ポイントラインの外を広く守る。弱点はゴール下と両コーナー。コーナーにパスが出ると後ろの1人が外へ引っ張られ、空いたゴール下に5が飛び込む。

③ ボックス&ワン
X1X2X3X4X512345

4人がゴール前に四角(ボックス)を作ってゾーンで守り、X1だけが相手のエース1にマンツーマンでぴったりつく。エースにボールを持たせないための“奇策”で、ボールはほかの4人の間で回ることになる。

○ 攻撃(数字はポジション)× 守備 ボール実線=動き/点線=パス

① 2-3ゾーン:ゴール下を3人で固める

2-3ゾーンは、ゾーンの中でいちばんよく使われる形だ。後ろの3人がゴール下と左右のローポストを守るので、ドライブやゴール下のシュートが決めにくくなる。背の高いセンターをゴールの近くに置いたままにできるのも大きい。

弱点は、前の2人と後ろの3人の“あいだ”にできる空間、特にフリースローライン付近(ハイポスト)だ。ここでボールを受けた選手は、ゴールに向かってシュートもパスも選べる。前の列が下がれば外が空き、後ろの列が上がればゴール下が空く。図のように、ビッグマンがハイポストに走り込んでボールを受けるのが、2-3ゾーンを崩す定番の動きだ。

2020年のファイナルでは、ヒートのエリック・スポールストラHCが、要所でレイカーズに2-3ゾーンをぶつけた。ゴール下に強いレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスに対して、“まずゴール下を固める”というゾーンの考え方で対抗した形だ。

② 3-2ゾーン:外の3ポイントを広く守る

3-2ゾーンは、前の列に3人を横に並べ、トップと両ウイングの3ポイントを守りやすくした形だ。外からのシュートがうまいチームや、ボールを外で回して時間を使いたいチームに対して使われる。

そのかわり、後ろの列は2人だけになる。弱点はゴール下と両コーナーだ。コーナーにパスが出ると、後ろの1人が外へ引っ張られ、ゴール下に残るのは1人だけになる。そこへ別の選手が飛び込めば、簡単なシュートが生まれる。

前の列の真ん中が1人だけ高い位置に出た形を1-2-2と呼ぶこともある。トップのボール運びにプレッシャーをかけ、相手のハーフコートでの攻撃開始を遅らせるねらいがある。

③ ボックス&ワン:エース1人を消す“奇策”

ボックス&ワンは、4人がゴール前に四角形(ボックス)を作ってゾーンで守り、残りの1人だけが相手のエースにマンツーマンでつく変わった守り方だ。ついている1人は、エースがボールを受けられないように、ずっと体を寄せて邪魔をし続ける。

有名なのが、2019年のファイナル第2戦でラプターズのニック・ナースHCがステフィン・カリーに対して使った場面だ。ケビン・デュラントが欠場し、クレイ・トンプソンも途中で負傷退場していたウォリアーズは、カリー以外の選手で点を取らなければならなくなった。試合はウォリアーズが逃げ切ったが、NBAのファイナルでは珍しい守り方として大きな話題になった。

ボックス&ワンは、エース以外の4人に打たせる覚悟の守り方でもある。ほかの選手のシュートが入り出すと、一気に崩れる。エースが1人で点を取っているチームにしか使えない、まさに“奇策”だ。2人のエースにそれぞれ1人ずつつくトライアングル&ツーという変形もある。

ゾーンの崩し方:空いた場所にボールを入れる

攻撃側から見ると、ゾーンを崩す基本は3つある。1つ目は、ゾーンの“あいだ”にボールを入れること。2-3ならハイポスト、3-2ならゴール下やコーナーだ。真ん中でボールを受けた選手に守備が集まれば、外が空く。

2つ目は、速いパス回しだ。ゾーンはボールの位置に合わせて全員が動くので、ドリブルよりも速いパスを続けると、守備の移動が間に合わなくなる。特に、コートの逆サイドへ一気に飛ばす“スキップパス”は、ゾーンにとって大きな脅威になる。

3つ目は、3ポイントを決め続けることだ。ゾーンはゴール下を守るかわりに、外のシュートをある程度許す守り方でもある。3ポイントが続けて決まれば、守る側はゾーンをやめてマンツーマンに戻すしかなくなる。

3つのゾーンのまとめ

守りが固い場所
空きやすい場所
2-3
ゴール下、ローポスト
フリースローライン付近(ハイポスト)、ウイングの3P
3-2
トップとウイングの3P
ゴール下、両コーナー
ボックス&ワン
相手のエースへのパス
エース以外の4人の3P

なぜNBAではゾーンが少ないのか

NBAでは長い間、ゾーンディフェンスはルールで禁止されていた。認められたのは2001-02シーズンからだ。ただしそのとき、守備の選手が3秒以上ペイントエリア(制限区域)にとどまってはいけない「ディフェンス3秒」のルールも一緒に作られた。ゴール下に大きい選手を立たせ続ける守り方は、NBAではできない。

さらに今のNBAには、3ポイントの名手がどのチームにもそろっている。ゾーンで外を空けると、すぐに3ポイントを決められてしまう。そのため、NBAのゾーンは試合の一部の時間だけ使う“チェンジ・オブ・ペース”として使われることが多い。タイムアウト明けや、相手のシュートが入っていない時間帯に急にゾーンを敷き、相手のリズムを崩すのがねらいだ。

一方、ディフェンス3秒のルールがないFIBA(国際ルール)の試合や、日本の高校・大学、Bリーグでは、ゾーンを使う場面がNBAよりずっと多い。ルールの違いは「NBAとFIBAのルールの違い」でまとめている。

観戦のコツ:守備が“相手を追いかけているか”を見る

ゾーンを見分けるコツは、攻撃側の選手が動いたとき、守備の選手がついていくかどうかを見ることだ。マンツーマンなら守備も一緒に動く。ゾーンなら、守備は自分の場所に残ったまま、ボールの動きに合わせて全体が少しずつずれる。

ゾーンだとわかったら、前の列と後ろの列の人数を数えてみよう。そして、攻撃側がハイポストやコーナーにボールを入れるか、3ポイントが入るかに注目する。数回の攻撃で守る側がマンツーマンに戻したら、それは「ゾーンが崩された」という合図だ。

用語の意味はNBA用語集でも確認できる。戦術解説では、今後もオフェンスの形や守備の約束ごとを、コート図つきで取り上げていく。

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