NBAの仕組みアウォード解説 / 基礎知識

NBAのアウォード(個人賞)一覧と「65試合ルール」をわかりやすく解説

ー MVPはどう選ばれる?なぜ出場試合数が必要になった? ー

シーズンが終わると発表されるMVPや最優秀守備選手賞。誰がどうやって選ぶのか、そして2023年から始まった「65試合ルール」とは何か。NBAの個人賞の仕組みをまとめた。

シーズンの最後を飾る個人賞

NBAでは、レギュラーシーズンが終わると、その年に活躍した選手や監督に個人賞(アウォード)が贈られる。発表はプレーオフの期間中に行われ、MVP(最優秀選手賞)の発表はプレーオフと並ぶ大きなニュースになる。

個人賞は選手の評価を決めるだけでなく、殿堂入りの判断材料になり、ときには契約の金額にまで影響する。どんな賞があり、誰がどう選ぶのかを知っておくと、シーズン終盤の「MVPレース」がぐっと面白くなる。

主なアウォード

もっとも権威があるのがMVP(最優秀選手賞)だ。ほかに、守備で最も貢献した選手に贈られる最優秀守備選手賞(DPOY)、1年目の選手が対象の新人王(ROY)、ベンチから出場した選手が対象のシックスマン賞、前年から最も成長した選手に贈られるMIP、試合終盤の勝負強さを評価するクラッチ・プレーヤー賞、そして監督に贈られる最優秀ヘッドコーチ賞がある。

2022-23シーズンからは、主な賞のトロフィーに伝説的選手の名前が付けられた。MVPは「マイケル・ジョーダン杯」、最優秀守備選手賞は「アキーム・オラジュワン杯」、新人王は「ウィルト・チェンバレン杯」といった具合だ。クラッチ・プレーヤー賞もこの年に新設され、“ミスター・クラッチ”と呼ばれたジェリー・ウェストの名前が付いている。

主なアウォードと65試合ルール

トロフィー名は2022-23シーズンから
トロフィー名
65試合ルール
MVP
マイケル・ジョーダン杯
対象
最優秀守備選手賞
アキーム・オラジュワン杯
対象
新人王
ウィルト・チェンバレン杯
対象外
シックスマン賞
ジョン・ハブリチェック杯
対象外
MIP
ジョージ・マイカン杯
対象
クラッチ・プレーヤー賞
ジェリー・ウェスト杯
対象
最優秀ヘッドコーチ賞
レッド・アワーバック杯
対象外
オールNBA
-
対象
オールディフェンシブ
-
対象

誰がどうやって選ぶのか

個人賞を選ぶのは、NBAを取材する記者や放送関係者など、約100人のメディア関係者だ。選手やチームの投票ではない点が、ほかのスポーツの賞と少し違う。

MVPの場合、投票者は5人の選手に順位を付けて投票する。1位が10点、2位が7点、3位が5点、4位が3点、5位が1点で、合計点が最も多い選手がMVPになる。1位票の数ではなく合計点で決まるため、多くの投票者から上位に名前を挙げられることが大切だ。投票者ごとの投票内容は後日公開され、毎年のように議論の的になる。

MVP投票の配点

投票者1人あたりの持ち点。約100人分の合計点で順位が決まる
1位
10点
2位
7点
3位
5点
4位
3点
5位
1点

オールNBAチームとスーパーマックス

個人賞と並んで重要なのが、オールNBAチームだ。その年に最も活躍した15人を、1stチームから3rdチームまで5人ずつ選ぶ。以前はガード2人、フォワード2人、センター1人という枠があったが、2023-24シーズンからはポジションの区別がなくなった。

オールNBA選出が重要なのは、名誉だけの問題ではないからだ。在籍7〜9年の選手がオールNBAに選ばれると、元のチームとキャップの35%までの「スーパーマックス」契約を結べるようになる。1つの選出が、数千万ドル単位で契約額を左右することもある。

ほかに、守備に優れた10人を選ぶオールディフェンシブチーム、新人の上位10人を選ぶオールルーキーチームもある。八村塁は、ルーキーシーズンの2019-20シーズンにオールルーキー2ndチームに選ばれている。

65試合ルールとは

2023年に結ばれた労使協定で導入されたのが「65試合ルール」だ。MVP、最優秀守備選手賞、MIP、クラッチ・プレーヤー賞、オールNBA、オールディフェンシブの対象になるには、レギュラーシーズン82試合のうち、原則として65試合に出場する必要がある。新人王、シックスマン賞、最優秀ヘッドコーチ賞は対象外だ。

1試合として数えられるのは、20分以上出場した試合。15分以上20分未満の試合は、2試合までなら数に入れられる。シーズンを終えるけがをした場合は、62試合に出場し、それまでのチームの試合の85%以上に出ていれば対象に残れるという例外もある。

ルールが作られた背景には、主力選手が体力温存のために試合を休む「ロードマネジメント」の広がりがある。チケットを買って会場に来たファンや、試合を放送するテレビ局にとって、スター選手の欠場は大きな問題になっていた。

65試合ルールの数え方

  1. 120分以上

    20分以上出場した試合を「1試合」として数える。

  2. 215〜20分

    15分以上20分未満の試合は、シーズンで2試合まで数に入れられる。

  3. 365試合で対象

    合計65試合に達すれば、MVPやオールNBAの対象になる。

  4. 4けがの例外

    シーズンを終えるけがの場合、62試合かつチームの試合の85%以上で対象に残れる。

ルールがもたらした変化

ルールの影響がはっきり表れたのが、2023年のMVPジョエル・エンビードだ。翌2023-24シーズンは圧倒的な数字を残しながら、けがで出場が39試合にとどまり、MVPやオールNBAの対象から外れた。

選手の契約には、オールNBA選出や受賞に応じたボーナスが含まれていることも多い。出場試合数が収入にも直結するようになり、選手が出場にこだわる動きが強まった。一方で、けがで出られなかった選手まで対象外になるのは厳しすぎるという声もあり、ルールの是非は今も議論が続いている。

ナゲッツとMVP

ナゲッツファンにとって、MVPは特別な賞だ。ニコラ・ヨキッチは2021年、2022年、2024年と3度のMVPに輝いた。2014年のドラフトで2巡目41位という低い順位で指名された選手がMVPになるのは、それまでのNBAの常識を覆す出来事だった。

さらにヨキッチは、ナゲッツが初優勝した2023年にファイナルMVPも受賞している。ファイナルMVPはシーズンの賞とは別に、ファイナル終了直後に11人のメディア関係者の投票で決まり、「ビル・ラッセル杯」と呼ばれる。シーズンの個人賞とプレーオフの賞、両方の仕組みを知っておくと、1年を通してNBAをより深く楽しめるはずだ。

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