世界22位・アジア2位という現在地
前回の記事ではFIBA世界ランキングのトップ20と各国のNBAスターを眺めた。では日本はどこにいるのか。2026年3月時点で、男子日本代表は世界22位(509.1pt)。トップ20には一歩届かないが、アジアの中ではオーストラリア(世界6位)に次ぐ2位につけており、ニュージーランド・中国・イランといった地域のライバルを上回っている。
この順位は、河村勇輝や富永啓生ら世代の台頭、ホーバスHC体制での戦い方の整備、そして何より日本人NBA選手の存在が積み上げてきたものだ。数字だけ見れば22位だが、アジアの勢力図で見ると日本は明確に“上位グループ”にいる。
NBA組の今①——八村塁、FAを経てクリッパーズへ
日本人選手として現状もっともNBAで実績を積んでいるのが八村塁だ。ウィザーズからレイカーズへ移って以降、レブロン・ジェームズやアンソニー・デイビスと同じフロアで戦い、プレーオフでも重要な役割を担ってきた。3&Dに加えてサイズとフィジカルを備えたフォワードは、リーグでも価値が高い。
そんな八村は、レイカーズでの4年目を終えた2026年オフにフリーエージェント(FA)となり、ロサンゼルス・クリッパーズと2年総額2800万ドル(2年目はチームオプション)の契約で合意した。同じロサンゼルスで、今度はレイカーズのライバル球団の一員として戦うことになる。年俸1400万ドルという評価は、3&Dとサイズを兼ね備えたフォワードとしての価値がリーグで認められている証でもある。
NBA組の今②——河村勇輝、クリッパーズで再挑戦
身長172cmという“NBAでは規格外に小さい”体格ながら、その壁に挑み続けているのが河村勇輝だ。グリズリーズでのプレシーズンで見せた鋭い読みとゲームメイクは世界を驚かせ、以降はNBAとGリーグを行き来しながらキャリアを重ねている。
2026年1月には下腿の負傷から回復し、シカゴ・ブルズと2ウェイ契約を結んでシーズンを戦った。そして2026年8月、クリッパーズとトレーニングキャンプ契約(エグジビット10)を結び、日本代表の仲間である八村と同じチームで開幕ロスター入りを目指すことになった。エグジビット10は、キャンプでの評価次第で2ウェイ契約への切り替えも可能な契約形態で、NBA定着への挑戦はまだ続いている。それでも、日本人ガードがNBAの舞台で戦い続けていること自体が、後に続く選手たちへの道を切り開いている。
NBA組の今③——渡邊雄太、NBAを離れBリーグへ
八村と並んで長く日本代表を支えてきた渡邊雄太は、いまNBAではなくBリーグでプレーしている。ラプターズ、サンズ、グリズリーズなどでロースターやローテーションに絡み、3ポイントとハードワークで“複数チームが欲しがる役割player”として評価されたが、2024年に日本へ帰還。千葉ジェッツの一員となった。
Bリーグでの渡邊は主力そのもので、2025-26シーズンは平均13.5得点・4.8リバウンドを記録。7月にはクラブが2026-27シーズンの契約継続も発表した。NBAの第一線からは退いたものの、日本のトップリーグの価値を引き上げる存在として、その経験は代表にとっても大きい。
日本がランキングを上げるには——“NBA組フル合流”がカギ
ここで前回も触れた重要な構造がある。W杯予選のウィンドウの多くはNBAのシーズン中(2月・11月)に組まれ、その時期は八村や河村といったNBA所属選手は招集が難しい。つまり日本は、予選の多くをNBA組“抜き”で戦わざるを得ない。にもかかわらずアジア2位を保っているのは、Bリーグ勢の底上げの証でもある。
逆に言えば、NBAのオフに当たる夏のウィンドウや、2027年夏のW杯本大会でNBA組がフル合流できれば、日本の戦力は一段跳ね上がる。クリッパーズで八村と河村がそろって存在感を示し、若い世代がさらに育つ——その総和が、22位という数字を押し上げていく。下のアジア勢力図と予選カレンダーで、日本の立ち位置と“これから”を確認してほしい。
アジア・オセアニア主要国 × 現役NBA選手
2026年3月3日時点 / 日本は世界22位・地域2位
アジア・オセアニア地域の1位
渡邊雄太はBリーグ・千葉ジェッツへ
現役NBA選手は不在
※NBA所属選手は2025-26シーズン時点。表記はスペースの都合で略称を含む。トレード等で変動する場合があります。
日本代表 W杯2027アジア予選ロード
2月・11月ウィンドウはNBAシーズン中で八村・河村は招集困難。夏の合流が戦力アップのカギ。
2025年11月
アジア予選第1ラウンド開幕
シーズン中のためNBA組は不在。Bリーグ主体の編成でスタート。
2026年2月27日〜3月2日
アジア予選第2ウィンドウ
引き続きNBA組抜き。地域2位を守れるかが問われる。
2026年7月
アジア予選← 今ここ第1ラウンド 最終ウィンドウ
NBAオフの好機。FA中の八村や河村が合流できれば戦力が大きく上がる。
2026年8月〜11月
アジア予選第2ラウンド
本大会出場圏へ勝ち残るための正念場。世代交代の成果も試される。
2027年2月
アジア予選最終ラウンド 最終ウィンドウ
W杯2027(カタール)出場を懸けた最後の戦い。
2027年夏(8〜9月)
カタールFIBA W杯2027 本大会
出場できればNBA組フル合流を狙える舞台。世界との距離を測る。
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